2024年05月20日( 月 )

巨人稲盛和夫氏に学ぶ(11)~人間性のバランスを

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 アブリールス(株)(富塚祐子代表取締役社長・元沖盛塾塾員)よりいただいたニューズレターのうち、稲森和夫氏の発言を紹介したものを抜粋して共有する。

 先週はわが師の故稲盛塾長の訃報で、国内・海外の元盛和塾生(ソウルメイト)とのメールや電話で何百件という、すごーい問い合わせが入り情報共有にてんてこ舞いの忙しさでした
 地元鹿児島では号外が出てその偉大なる業績を称えておられました。その号外が必要な方は言ってください。

稲盛和夫 魂に響く言葉

 会社経営をしていくなかで得た事業・人生発展の秘訣を、強い信念をもって語り続けてきた稲盛和夫氏。
 さまざまな困難に遭遇しながらも、そこから得た学びを、哲学にまで高めた氏の言葉には、すばらしい人生を送るための要訣が説かれています。出典は『致知』2021年4月号「特集:稲盛和夫に学ぶ人間学」(致知出版社)。

未来進行形で考える

 目標を立てるときには、「自分の能力以上のもの」を設定する。・・・・それが私の考えです。今の自分では「とてもできそうもない」と思われるほどの困難な目標を、「未来の1点で達成する」ということに決めてしまうのです。そして、その「未来の1点」というターゲットに合わせ、現在の自分の能力をその目標に対応できるまで高める方法を考えていくのです。

すべてに「よかれかし」

 すべてに対して「よかれかし」という利他(りた)の心、愛の心をもち、努力を重ねていけば、宇宙の流れに乗って、すばらしい人生を送ることができる。逆に人を恨んだり憎んだり、自分だけが得をしょうといった私利私欲の心をもつなら、人生はどんどん悪くなっていくのです。

バランスのとれた人間性を備える

 稲盛氏は次のようにお話しされています。

 「バランスのとれた人間とは、何事に対しても常に『なぜ』という疑問をもち、これを論理的に徹底して追求し、解明していく合理的な姿勢と、誰からも親しまれる円満な人間性を併せもった人のことを言います」と稲盛氏はバランスについて説明されています。
 →ここで指摘される 1 合理性、2 人間性、3 バランス、この3つについて考えてみたいと思います。

1.合理性

 「みんなからいい人だといわれるだけでは、仕事を確実に進めていくことができません。私たちがすばらしい仕事をしていくためには、科学者としての合理性を兼ね備えていなければなりません。。。。
 昔、営業の連中が外回りから帰ってきて私にその日の報告をするなかで、『いや、この件は難しいのです。私も訳が分かりません』などと理屈にならない説明をするものがいると、私はこっぴどくしかったものでした。訳がわからないことがあっては困るわけで、企業活動のあらゆる問題は、すべて理屈で証明できるはずなのです。また、証明できるようでなければ話になりません。」

 → これは物事が、宇宙の法理法則に合っているのかということだと思います。情ではなくて、宇宙の理、に沿っているのか、ということです。水が上から下に流れるように、誰が見ても明らかにその通りだと思えるような法理法則に従っているのか、それを見極めることが大切である。そのようなことをおっしゃっているのだと思います。

2.人間性

 「いくら分析力に優れ、合理的な行動を貫くスマートさを備えていても、それだけでは、周りの人々の協力を得ることができないでしょう。『この人のためなら』と思わせるような人徳を兼ね備えていなければなりません。。。。
 そのようにして科学的に考えるタイプの人間は、とことん理屈で割り切ろうとします。『死後の世界とか、仏の世界とか、そんなわけのわからない話が信じられますか?私は説明がつかないものは信じません』というわけです。」

→ 何代も続いている会社ほど、宗教的な儀式を大切にしていると聞いたことがあります。

 これは、ある意味、人間が謙虚になるということかもしれません。
 自然災害を見てみても、人間の想定がおよばないことがたくさん起こります。
 しょせん、人間ができることはたかが知れています。
 おごり高ぶってはいけない、
 自分たちの力を過信してはいけない、
 神仏や自然と触れることで、企業のリーダーは、謙虚な気持ちを保とうとしているのかもしれません。そのためにも、魂の世界など、形而上学的なことにも意識をむけなさい、と稲盛氏はおっしゃっているのではないかと思いました。

3.バランス

バランス イメージ    「これは科学的な合理性と豊かな人間性を併せもち、かつ、そのどちらにも偏らないバランスが必要であるという意味です。。。。
 私の場合は、会社で仕事をし、また研究をする世界ではとことん合理主義であり、絶対に不可思議なことは許さない。ところが、一歩会社を離れれば、その対極にある仏の世界など、精神的な領域も信じられる。。。。。

 問題になるのは、そのように対極にある2つの人間性がバランスを失っている場合です。仏の世界に没頭し、形而上学的、宗教的なものに傾斜すると、それを経営の場にも持ち込む人がいます。極端な博愛主義で指導するコンサルタントもいるようですが、これはとんでもない話です。私は経営論においても『利他』の重要性を説いていますが、これにはちゃんと合理性があるからお話ししているのです。ビジネスの世界では、徹底した合理主義者、しかし、それ以外ではロマンチストであり、形而上学的なことも考えられる人間でなければいけません。この両面のバランスが取れていなければ、一流の経営者にはなれないのです。」

 → これはもしかしたら、宇宙の陰陽を指摘されているのではないかと思います。
 陰と陽は物事の裏と表です。表だけではダメで、また裏だけで存在しているものはありません。陽にばかり光を当てていると、陰に対処ができません。また、陰ばかりを見ていると、マイナスのスパイラルにはまってしまいます。1つ1つの仕事でも、毎日の些細な出来事でも、陰陽の両面を見る、これが大切だとおっしゃっているのではないかなと思いました。

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