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2015年06月22日 14:19

長崎造船所、正念場の大型クルーズ客船建造

三菱重工業(株)

1,000億円超の損失引当金

同時に建造されている2番艦 明治以降、長崎経済を牽引してきた三菱重工業(株)長崎造船所が正念場を迎えている。2011年11月に受注した、世界最大のクルーズ客船会社カーニバル社傘下の独アイーダ・クルーズ社向けに作られる大型クルーズ客船2隻の建造プロジェクトで、ホテルパートなどの大幅な設計変更で設計作業が遅れ、資材調達や建造工程に悪影響がおよんだ。その結果、15年3月期における同事業関連の損失引当金は1,052億8,000万円となっている。

 3度にわたる同事業関連の特別損失計上に、同社の混乱がうかがえる。まず、同社は14年3月期末に、15年3月期に見込まれる損失を「客船事業関連損失引当金繰入額」として641億2,600万円計上。しかし、15年3月期に入ってからも、ホテルパートなどの総合配置や関連付帯設備において、設計の基礎に立ち戻る事象が発生。さらなるコスト悪化を見込み、第2四半期に追加損失予想額398億4,100万円を計上した。

 さらに、工期の遅れを取り戻すべく、通常の倍となる4,000人の船内作業者を動員したが、このラッシュワークが、一度の設計変更で大掛かりなやり直し工事や作業効率の低下などを招き、第4四半期にも追加損失予想額296億9,300万円を計上した。同社は設計に遅れが生じた理由を、次世代省エネ客船としてゼロベースで建造を行ったためなどとしているが、このプロジェクトは、同社の造船技術を世界に示し、3番艦、4番艦と次の受注につなげようという思惑もある。これ以上の遅れは許されないところだ。

 2隻の受注額は1,000億円とされているが、9月完工を目指して赤字覚悟のラッシュワークが続けられている。同時に建造されている2番艦は来年3月の完工予定。同社の客船事業の将来をかけた戦いはまさに正念場だ。
 なお、同社は15年3月期、連結売上高3兆3,495億9,800万円、同純利益1,604億2,800万円を計上。来期は連結売上高4兆2,000億円を見込み、先々は年商5兆円を目標に、事業拡大、財務基盤の強化、経営プロセスのグローバル化を進めていくとしている。

【山下 康太】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:宮永 俊一
所在地:東京都港区港南2-16-5
設 立:1950年1月
資本金:2,656億878万円
業 種:船舶製造・修理業
売上高(単体):(15/3)1兆5,371億5,700万円

 
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