2024年11月09日( 土 )

【札幌市長選】五輪招致にこだわる姿勢が透けて見える秋元市長(後)

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 ──「市民党」を掲げているのであれば、反対が上回れば、則、開催中止が筋だと思うが、いま言われた「市の意向調査」自体が恣意的で報道機関の調査に比べて賛成が多い。これは市長が指示をして賛成が多くなるような設問にしたのか、電通から接待を受けた幹部・関係者がそういうふうにしたのか分からないが、市の意向調査だと民意が正確に反映されない(恐れがある)。住民投票のほうがよりクリアだと思うが、なぜ市の意向調査が報道機関とギャップがあるのか。(市のアンケート調査から)住民投票に切り替えるのかどうか聞きたい。

秋元克広札幌市長    秋元市長 ちょっと失礼な聞かれ方かなと思うが、まったく今指摘されたようなことはない。それはあえて言わせてもらうが、今までも公平性を保った調査の仕方をしてきたかたちだが、賛成の方も反対の方もいずれもたとえば、自分の意思が表明できるような事柄も含めて意向を確認する必要があるのではないかと現時点では思っている。その手法について改めて、たとえば、第三者、あるいは専門家の意見をいただきながら調査のやり方、手法などについても検討していきたい。

 できるだけ招致のプロセスも、透明性というか、客観性をもったかたちにしていかないと、いま質問にあったように「何か恣意的にやっているのではないか」と思われることは心外なので、プロセスについてもしっかり議論をしていきたいと思う。


 納得のいく回答ではなかったので次のような再質問をした。

 ──「心外」と仰いましたが、市の意向調査の結果が報道機関よりも賛成が多いことは事実であって、明らかに正確な民意を反映しない方法を実施していることを物語っていると思うが、その原因も調査しなければ、“前科一犯”の札幌市の意向調査は全然市民に受け入れられないのではないか。「信憑性がある」とは捉えられないのではないか。

 秋元市長 いろいろなサンプル数とか手法にいろいろ違いがあります。私どもは、文書で出したものへの回答と、インターネット回答とで数字が違う。どういったものが客観性があって皆さまに理解が得られるのか。専門家の意見をいただきながら、不信を抱かれないようなかたちで取り込んでいきたいと思う。

 ──最後に、不信をいだかれないようにするには、住民投票が一番クリアであって、「自民党や建設業界から応援を受けるために五輪招致の旗を降ろさないのだ」という疑惑・疑問を払しょくするにはまさに住民投票が一番いいと思うが、住民投票で意向を確認すると明言しないのか。

 秋元市長 住民投票という方法も含めて、いろいろな客観性をもった調査をしていく必要がある。どういう年齢に問うのが良いのか。子どもたちの意見も取り入れていく必要があろうかと思う。7年後、8年後に大人になる子どもたちがどう考えているのか。こういったことを含めて調査をどういうふうにしていくのが、一番客観性をもった方法なのかということについて、ご指摘の点も含めて検討していきたい。


 秋元市長は結局、最もクリアな意向調査手法である「住民投票」の実施を明言することはなかった。「何が何でも冬季五輪招致を断念したくない」という本音が透けて見えるのだ。ちなみに北海道新聞が12月中旬に実施した世論調査では「市民の67%が反対」(『北海道新聞』1月8日付)という結果が出た。「住民投票実施=五輪招致中止」となる可能性が高いため、「自民党や建設業界からの支援を期待して秋元市長は住民投票実施を明言しないのではないか」と勘繰らざるを得ない。

 「日を改めて具体的な政策を発表する」(秋元後援会関係者)とのことだが、秋元市長やほかの候補が五輪招致の意向調査方法について公約にどう書き込むのか注目される。

(了)

【ジャーナリスト 横田 一】

(前)

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