ディスプレイ市場、中国勢台頭と韓国サムスン、LGの戦々恐々(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏業界を俯瞰して
ディスプレイとは、パソコン、ノートパソコン、スマートフォン、テレビなどで、情報を表示する画面装置のことをいう。テレビなどのように大画面ディスプレイのことを業界では「パネル」と呼ぶことが多く、スマートフォンなどの小さなディスプレイの場合は、「画面」という用語で呼ばれることが多い。ディスプレイも技術の発展が目覚ましく、昔のテレビにはブラウン管が使われていたが、2000年代の中頃に液晶パネルを利用した薄型テレビが登場し、テレビやパソコン用ディスプレイの主役の座を占めるようになった。ところが、約10年前から自発光方式の有機EL(OLED)パネルが登場し、アップルの高級機種や、テレビの高級モデルなどで採用され、市場を少しずつ広げている。
ディスプレイ市場は今後、他の技術との関連でさらなる需要の拡大が予想される。たとえば、仮想世界を体験できる技術であるARやVR、それから自動車の自動運転技術などが考えられる。それら技術の一般利用が普及すれば、それに伴ってディスプレイの需要もさらに拡大されることになるので、半導体に次ぐ大きな産業になることへの期待感も大きい。米国はこの分野での中国の成長をけん制するため、半導体に次いで、ディスプレイ分野でも、中国に対する輸出管理等の規制を行うのではないかという観測が流れている。
今回はディスプレイの代表的な市場であるテレビとスマホを中心に、ディスプレイ市場の動向を見てみることにしよう。筆者が日本に駐在していたころ、知り合いの家庭を訪問すると、テレビはほぼソニーであった。ところが、ある時点から様子が変わり、多くの国のホテルのテレビは、サムスンやLGに代わっていった。テレビ市場でサムスンが1位、LGが2位という時代が訪れたのだ。それから最新技術である有機ELのテレビ応用も当初日本企業が力を入れていたが、結果としてその技術を活用した製品で世界市場を握ったのはサムスンとLGであった。
ところが近年、ディスプレイ市場に中国勢が台頭し、液晶分野では韓国を追い抜いてしまった。韓国は2004年に液晶分野で日本を追い越し、17年間首位を守っていたが、その座を昨年中国にあっさり明け渡した。世界のディスプレイ市場において、液晶パネルとOLEDパネルを合計した数値のなかで液晶が占める割合は約9割ほどである。市場調査機関のオムディアによると、韓国の世界市場シェアは33.2%で、昨年、中国の41.5%に追い越された。このような状況下で、サムスンとLGは危機感を覚え、液晶パネルの生産を中止あるいは縮小して、OLEDの生産に注力する戦略に舵を切った。まだ市場は大きく成長したわけではないが、今後需要が増加することが確実視される中小OLEDに注力し、中国の追撃をかわすという方針である。
(つづく)
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