2024年07月13日( 土 )

川勝知事、岸田首相にリニア関連書簡 現行方式の破綻は必至(前)

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川勝平太・静岡県知事    1月24日にリニア関連の書簡を岸田首相に出した川勝平太・静岡県知事が2月2日、リニアトンネル工事が上流で計画されている大井川流域の川根本町を視察、意見交換会を終えた後に囲み取材にも臨んだ。地元記者からは当然リニア関連の質問も出たが、私は、現行リニア計画破綻を示唆した“岸田首相書簡”について聞いてみた。名古屋部分開業(二段階方式)では赤字確実で、一気に大阪まで開業させる一段階方式への移行が必至とみえたからだ。

 ──「リニアの二段階方式を厳しく検証すべきだ」と仰いましたが、知事会見での話を聞いていると、名古屋まで開業しても赤字は確実だと。(東京から大阪に行くのに名古屋までリニアに乗って)乗り換える人がどれだけいるのかはまさに的確な指摘だと思うが、これは二段階(開業)方式を見直すべきだと理解していいのか。

 川勝知事 そこは検証をして、はたして本当にJR東海が考えているように「名古屋まで開業して(経営)体力をつけて、それから大阪まで」と(JR東海は二段階方式を言っている)。体力がつくのかどうか検証しなくてはいけない。ようやく「検証する」と政府が言った。検証していなければ、「JR東海は一体どういう会社か」ということになるのではないか。だから政府におんぶにだっこの国鉄の体質が今も現れているのかなと思っている。これは検証次第です。


 1月16日の本サイト記事「リニアをめぐる政府と静岡の攻防、計画の欠陥とJR東海破綻リスク」でも指摘した通り、JR東海のリニア計画は二段階方式で、2027年予定で東京(品川)~名古屋間の部分開業後、10年かけて経営体力を回復しながら37年予定で大阪まで全線開業をすることになっている。だが、名古屋部分開業で利用者が少なく赤字となれば、経営体力をつけるどころではなくなる。これを川勝知事が問題視、名古屋部分開業でのシミュレーションも実施して検証することを“岸田書簡”のなかで求めたのだ。

 なお最近は川勝知事を批判する記事を連発する小林一哉氏だが、“変節”する前に出した「JR東海 リニア南アルプストンネル計画 なぜ、川勝知事は闘うのか?」(発行:静岡旅行記者協会)にも「名古屋開業でも“大赤字”リニアは悪夢か?」と銘打ち、川勝知事と同じような二段階方式批判を展開していた。

「経済評論家の堺屋太一は『名古屋で乗り換えて大阪は非現実的です。東京~名古屋だけをつくるのでは大赤字は確実。大阪まで一気に開通させる以外はない』と提言した」

 樫田秀樹著『“悪夢の超特急”リニア中央新幹線』(発行:旬報社)も「(リニア乗車・東海道新幹線乗換で)現在の新幹線よりもわずか20分しか早くならない」「速いけど早くない」と指摘。のぞみからリニアへの移行は部分開業では微々たるもので、静岡県でのひかりやこだまの本数増加は限定的であることは自明だ(どちらも先の本サイト記事で紹介)。

 岸田首相が通常の思考能力の持ち主なら当然、行きつく悲観的結論を前提に質問を続けた。

(つづく)

【ジャーナリスト/横田 一】

(後)

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