福祉関連の小さなまちづくりを目指す（後）

（株）スエナガ
代表取締役　出口 洋一 氏
専務取締役　三喜 英明 氏

　──安定供給についての工夫は、ほかにもございますか。

　三喜　収益性や効率性向上のために、私たちは施工を含むさまざまな関係者に事業へ積極的に参加していただき、巻き込むことに努めています。たとえば、障がい者向けグループホーム竣工時には、関係者を一堂に集めた内覧会を実施します。土地オーナーさまや施工関係者はもちろん、OB顧客や不動産、金融機関、医療・福祉関係者も招き、その場で当社が次にどのような事業を行いたいのかなどについて、密なコミュニケーション、情報交換を行っております。

    その結果、最近は土地情報獲得の在り方も変化してきました。これまでは「空いている土地」の情報を紹介していただくことがほとんどでしたが、あらかじめこちらから「ここに出たい」という場所をピックアップし、不動産や金融機関にお知らせすることで、それに合わせた精度の高い、事業化につながりやすい土地情報を提供していただけるようになったのです。これによって、事業をより円滑に進められるようになりました。

　──他社を巻き込んだネットワークが強みなのですね。

　出口　当社では障がい者向けグループホームだけでなく、有料老人ホームやホスピス（終末期の患者とその家族の苦痛を最小限にすることを主な目的とするケアプログラム）などの事業所も手がけており、「福祉関連の小さなまちづくり」を目指しています。それら施設を運営する事業者とも強固な関係を築き上げており、それも大きな強みの1つです。少なくとも、福岡市と周辺には当社ほどのネットワークを持つ企業はないはずです。

　三喜　当社にはヘルパーやパートの方を含め、グループに約200人の従業員が在籍していますが、実はそのなかに営業担当者は4人しかいません。彼らの主要な業務は内覧会の開催などによって、当社の事業に協力してくださる方々を当社のネットワークに巻き込むことです。そして、それを周りがしっかりとサポートするという業務スタイルも、当社の事業における特徴の1つですね。

SNSを活用した広報活動を積極化

　──人材確保では、どのような取り組みを行っているのでしょうか。

　出口  障がい者向けグループホームや有料老人ホーム、ホスピスなどさまざまな人材を当社では必要としています。しかし、ハローワーク一辺倒だった従来の採用活動では、優秀な人材を集めることが難しい状況でした。そこで注力したのが、ホームページやインスタグラムなどのSNSを利用した情報発信です。YouTube動画も作成し、当社の事業の方向性や雰囲気をできるだけ伝えるよう努めています。これにより、採用活動をスムーズに行えるようになりました。

    三喜　たとえば、私と社長は山登りを趣味としており、市内の山々を2人で登るのですが、そのときの様子も動画などで紹介しています。手づくりの部分も多いですが、このような広報活動が採用だけでなく、協力していただける事業者とのネットワークづくり、当社のファンづくりにも役立っています。言葉での説明だけではなく、動画、内覧会などによって当社の実績を見ていただくということが、これからの事業には大変必要なことであると考えています。

　出口　このように、障がい者向けグループホームを中心とした事業展開により、私たちの事業は今、最も著しい成長期を迎えているのではないかと感じています。今後は同業他社も進出してくる公算が高いですが、それでも我々は、一歩先の提案を実現するように、日々さまざまな業務の在り方について、研究・開発を貪欲に続けていきます。

（了）

【田中　直輝】

＜COMPANY INFORMATION＞
（株）スエナガ
代　表：出口　洋一
所在地：福岡市城南区堤1-13-30
設　立：2015年1月
資本金：3,700万円
ＵＲＬ：https://sda-suenaga.co.jp