2024年05月05日( 日 )

『脊振の自然に魅せられて(番外編)』北海道旭川でスキーを楽しむ(後)

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山頂のゴンドラ降り場にて スキー仲間たちと筆者(左端)
山頂のゴンドラ降り場にて スキー仲間たちと筆者(左端)

 山頂に着いた。

 どこのスキー場にもある案内板でコースを確認。目前に赤い屋根の山頂レストハウスがあり、強風が山裾から雪を舞い上げていた。昼前であるが小腹も空いたので、トイレ休憩とエネルギー補給のためにレストハウスへ入る。小型動画カメラを片手にドアを開けると、ペチカが赤々と燃える広い空間が筆者を迎え入れた。暖かい。冷えた体はペチカに温められた。

 広いガラス窓からゲレンデが見渡せる。リフトやゴンドラの背後に、雪で覆われた石狩平野が広がっていた。レストハウスの従業員は若い女性1人のみであった。調理開始時間は11時からとある。軽食のみのメニューで、ガーリックトーストとクリームスープを頼んだ。スキー場の展望を楽しみながら15分待ち、ようやく注文の品を取りにゆく。水もないので自動販売機でペットボトルのウーロン茶を購入。無性に喉が渇いていた。スキー場では乾燥もあって喉が渇く。

 ここまで水道で水を上げると凍るのかと、飲み水がないことに納得した。山頂なのにメニューは良心的な値段であった。一般的にスキー場では価格が高い。良心的な値段に感謝しつつ小腹を満たした。量の多いウーロン茶は飲み残した。給仕の女性に「すいません、飲み残しました」とカウンターに出した。

 このコースは初めてなので、前の席に座っていたグループに「九州から来たのだけど、どのコースがお勧めですか」と尋ねた。日本語のコース表も貰い、勧められたコースへ向かう。比較的長い中級コースに立つ。

 雪の状態と自身の滑りをたしかめ、感覚をつかんだところでスピードを上げ、ゲレンデを滑り降りた。コース横の樹木が流れて飛んでいく。スキーの醍醐味である。

 リフトに乗り、2度ほどこのコースで滑った。するとクラブの会長から、「下のセンターハウスで2人で昼飯を食っている」と携帯に連絡が。すぐ滑り降りますと返事し、2,300mのコースを一気に滑り降りる。午後からは会長を含む高齢者3人で緩斜面でのスキーを楽しんだ。途中で雪が降り出した。第1日目はこれで終了した。

 2日目は筆者より若い人たちと滑った。早朝はゲレンデも整備してあり、滑りは快適であった。私以外は指導員である。したがって滑りがうまい。変化に富んだいろいろなコースを彼らに付いて回り滑った。人もほとんどいない山頂から別のコースを滑り降りると、スキーの板で削られた雪が舞い上がって朝日に輝いていた。筆者が滑った跡にも雪煙が舞い上がっていた。筆者はしばらく雪煙の影のなかで滑っていた。美しい光景。仲間に頼んで1人ずつ2回目を滑ってもらい、動画を撮影した。

太陽に輝き 雪煙を上げながら滑るスキー仲間
太陽に輝き 雪煙を上げながら滑るスキー仲間

 休憩を含め、若い2人に付いていろいろなコースを滑り、スキーを堪能した。急斜面の上級者コースも何とか付いていった。筆者は左右に弧を描きながらスイスイと滑った。なんだか急にうまくなっているように感じた。

 「あと1本行こう」と、仲間はゴンドラ乗り場へ下る。だが、2人を追いかける筆者の脚はヘロヘロになっていた。先行する2人に「もう上がるから」と声をかけた。疲労困憊である。その後レストハウスに戻ってきた2人も、「池田さん、やめていて正解だったよ、我々も脚が痛くなった」と。

 帰りのバスは路線バスであった。乗客はスキーヤーばかりであるが、スキー板は剥き出しだ。乗客がスキー板で怪我をしないよう、板を抱いて座席に座った。こうして筆者の2日間の北海道スキーは終了した。久しぶりにスキーを堪能した2日間であった。

 宿泊したホテルは素泊まりだったので、アフタースキーは地元の焼肉屋で塩ホルモンを楽しんだ。「滑って、飲んで、食って」はスキークラブの恒例である。

 ホテルで北海道の地域旅行支援のQRコード表をもらった。これをスマートフォンで読み取り、メールアドレスや暗証番号を登録する必要がある。筆者の苦手な領域である。ホテルのフロントでも手伝ってもらったが、結局うまくいかなかった。仲間より早く帰るので、福岡への戻りは筆者1人である。

 1人で不安であったが、新千歳の案内所でQRコードが印刷された紙を示し、「買い物ができる店はありますか」と尋ねたところ、可能な店を教えてもらった。何とか地域旅行支援7,000円分で土産を買うことができた。なお、スマートフォンのQRコードは登録可能だった。紙に印刷された2人分のQRコードの、上下を間違えて読み込みしていたらしい。スキーは堪能できたものの、なんだか年寄りには優しくない世の中になってきた。

(了)

脊振の自然を愛する会
代表 池田友行

(前)

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