2024年05月20日( 月 )

マンション建築から天神ビッグバンまで、100年目の旭工務店を見据え裾野を拡大

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(株)旭工務店

過去の蓄積生かし裾野を拡大 「変化できる組織へ」

(株)旭工務店 吉弘 真二 社長
(株)旭工務店
吉弘 真二 社長

    地場トップクラスゼネコンとして知られる(株)旭工務店は、分譲マンション建築工事を主体に手がけ、今年で創業76年を数える。マンション新築主体ながら、近年は公共事業の受注も増加しており、公営団地、高等技術専門学校、市総合体育館、市場解体工事などで幅広く実績がある。TQCSI年間最優秀顧客賞を5期連続で受賞したほか、福岡市からは「工事成績優良業者」として毎年のように表彰されるなど、施工力への評価は高い。

 施工実績の豊富さから、地場のマンションデベロッパーが同社に寄せる信頼は厚いほか、リーマン・ショックの経験から、金融機関との関係構築にも一日の長がある。これらは、先代(現会長)と執行部がつくり上げてきた旭工務店の大きな資産となった。コロナ禍、緊急事態宣言直前の2020年4月に社長交代を成し遂げられたのも、マンションデベロッパーや金融機関からの信頼の賜だ。

 「強い組織は、変化できる組織。そういう組織にするために、事業の裾野を拡げていくことが重要で、これは私の使命だと考えています。裾野を拡げることで技術力の向上を図り、結果としてそれが旭工務店ブランドとなっていくからです」──吉弘真二社長は社長就任後にそう話していた。

事業の裾野は公共施設だけでなく、
天神ビッグバンや博多コネクティッドでも

本社隣地に建設中の社屋別棟
本社隣地に建設中の社屋別棟

    分譲マンションや公共施設のほか、現在では事務所・店舗、ホテル、医療・福祉施設と幅広い用途の建物建築を手がけるようになっていった。近年、とくに目を引くのが大型施設の建築だ。福岡市役所・北別館跡地活用事業、福岡東総合庁舎敷地有効活用事業といった、天神ビッグバンや博多コネクティッドを活用した再開発事業にも参画。さらに、福岡空港国際線ターミナル増改築工事も手がける。

 この点について吉弘社長は、「福岡市総合体育館などの公共工事をはじめ、近年はJV形式での受注が増えています。当社単独では受注できない案件に関わることで、他社との連携や大手ゼネコンの手法を学ぶ経験になっています。これは単独受注案件においても、工事進捗や原価の管理でも生きています」と話し、組織として成長できたと胸を張る。工事実績を重ねることで、次の受注にもつながっており、安定して公共工事の受注が続いているのはその証左だろう。

デジタルシフトで生産性向上へ
ドローン使った新事業にも着手

 ICT化にも積極的に取り組み、関係者全員が、現場の施工状況などをリアルタイムに共有できるシステムを導入し、報告・連絡・相談などの業務短縮化を進めてきた。これには、就労環境を改善する効果もあり、生産性向上にもつながっているそうだ。

 新たなチャレンジの1つとして、ドローン活用の検討も進めてきた。ドローンは主に広範囲の地形の測量に活用していく予定だが、測量以外では建築工事にも活用していく方針。施工管理の一環として、フロアを積み上げるごとに梁の位置の測定などに活用していくという。また、工事で積み上がった建物の各フロアから見える眺望を撮影し、画像や動画をオーナーへ提供するサービスも検討。「施工の物件のPRなどに活用していただければ」(吉弘社長)と言い、ドローン運用に必要な許認可はすでに取得済だ。これらデジタルシフトは、社長就任時に「新しいことにチャレンジしていきたい」と話していた吉弘社長が生んだ事業の1つ。

 ドローン測量は将来的な土木事業の強化を狙ったものでもある。「造成工事から建築工事までを我々で完結できれば、工事を全体でコントロールできるようになります。これにより、コストや工期がさらに柔軟になり、これまで以上に施主の満足度の向上を図ることができるようになると考えています」(吉弘社長)。

吉弘社長が語る建設業の魅力
「福岡のまちづくりに貢献できる」

    JV形式での大型案件や公共工事の受注、デジタルシフトはすべて「次代の旭工務店」を睨んだ施策でもある。これらは業績の安定に限らず、従業員採用の安定、ひいては組織の安定にもつながるものだ。

 例年4~5名の新卒高校生・大学生の採用を続けてきたが、生産性向上が叫ばれる建設業界において、デジタル化による効率化は避けては通れない。吉弘社長は建設業界の魅力について次のように話してくれた。「建物の数だけ生活があり、そこには当たり前の安心が求められます。人命を預かる建物をつくる仕事は、非常にやりがいのある仕事です。建物を支えることが地域を支えることになると考えていますし、つくった建物は地元である福岡の景観を形成していきます。まちづくりへの貢献を物理的に体感できる希少な仕事だと思っています」。

 同社では高校生や大学生のインターンシップ受け入れを積極的に行い、現場見学などを通じて学生に建設業の魅力を伝えてきた。「それが直接採用につながることは少ないですが、現場見学で少しでも建設業界に魅力を感じてもらえれば」(吉弘社長)と話した。入社後のフォローも手厚く、一級施工管理技士や一級建築士の資格取得に挑戦する社員には、予備校費の補助や労働時間の調整などを行っているといい、これを活用して資格を取得した社員も少なくない。社内コミュニケーションにも配慮しており、風通しの良い社風が同社の強みだ。定着率も安定傾向にあるという。こうして同社は、次代の旭工務店を支える人材への投資を積極的に行ってきた。

 さらに、旭工務店の将来を見据えて、23年4月までに吉弘社長および吉弘直彦会長の子息が入社。5~10年後には、会社を任される覚悟で入社した彼らが、創業100周年を迎えたときに旭工務店の代表となっている可能性は高く、それぞれが異なる経歴をもって入社したことに吉弘社長の期待も大きい。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:吉弘 真二
所在地:福岡市博多区博多駅南5-10-13
設 立:1953年9月
資本金:1億2,000万円
TEL:092-431-4131
URL:https://www.napsnet.co.jp

<RECRUIT>
募集職種:施工管理職
応募資格:短大/専門/大学 卒業見込みの方
問合せ先:092-431-4131
採用担当:永安


<プロフィール>
吉弘 真二
(よしひろ・しんじ)
1957年3月、福岡市生まれ。九州産業大学卒。(株)旭工務店の協業企業を経て同社に入社。社長室長、専務取締役、代表取締役副社長を経て、2020年4月に代表取締役社長に就任した。趣味は旅行とドライブ。

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