2024年04月16日( 火 )

日田彦山線を転用したBRTひこぼしライン(中)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

運輸評論家 堀内 重人

 日田彦山線の添田~夜明間は、鉄道による復旧を断念して、JR九州が専用軌道のインフラと車両を保有し、グループのJR九州バスが運営するBRT(Bus Rapid Transport)という、バス高速輸送システムに置き換わった。低床式の電気バスも導入されるなど、高齢者が利用しやすくなっただけでなく、環境にも配慮されたバス路線であり、「BRTひこぼしライン」という愛称をもつ。地元などの期待を背負い、2023年8月28日に開業したひこぼしラインであるが、代替バス時代と比較しサービスが向上した部分や、今後の課題についても言及したい。

運賃制度

BRTひこぼしライン    ひこぼしラインの運賃制度は、先行事例である気仙沼線・大船渡のBRT区間に類似しているが、一部異なる点もある。

 普通運賃は、鉄道とは別の体系を採用し、鉄道と乗り継ぐ場合は、接続駅である添田や日田、夜明で運賃計算を打ち切る。湯布院から日田を経由して、ひこぼしラインを利用して、小倉へ向かう場合は、湯布院~日田間の運賃と添田~小倉間の運賃に、プラスひこぼしラインの運賃を加えるが、これでは利用者の負担が増大するため、100円の乗継割引を適用する。また久大本線と並行する夜明~日田間も、ひこぼしライン独自の運賃が適用される。

 だが定期運賃については、高校生が自家用車による家族送迎へ流れると困るため、鉄道と同様の運賃を適用し、鉄道に跨る区間では、ひこぼしラインの乗車キロ数と通算した運賃計算キロ数を適用する。

 ひこぼしラインを区間に含む乗車券は、JR九州でのみ発売する。また、鉄道に跨る乗車券については、鉄道側の発着駅が、福岡県内を中心にしたJR九州の一部路線の駅に限定されている。区間外の路線や、平成筑豊鉄道などの他社線を含む乗車券は発売されない。JR九州は、大分在住の人が小倉へ行く場合、わざわざ九大本線とひこぼしライン、日田彦山線を経由して行くケースが非常に限定的だと考えているからである。

 事実、大分~小倉間には、特急列車が30分間隔で運転されており、そちらを利用した方が速くて便利で快適である。定期乗車券は紙の切符以外に、ひこぼしライン相互間に限りスマートフォン用アプリケーション「バスもり!」による定期券も利用できる。

 また、JR旅客会社が発行する「青春18きっぷ」の所有者も、追加運賃を支払うことなく、ひこぼしラインを利用することが可能である。それ以外に、ジャパン・レール・パス、レール&レンタカーきっぷ、ジパング倶楽部の割引などが、鉄道と同様に利用可能である。

 一方で、JR九州がウェブサイトで発売している「eきっぷ」や、「自由時間割引」については、ひこぼしラインの区間の利用は不可である。JR九州バスが加盟するSUNQパスでは、利用することができない。

 障がい者割引運賃も設定されており、身体障がい者割引・知的障がい者割引だけでなく、ひこぼしラインでは精神障がい者割引も実施している。乗車距離や障がいの程度に関わらず5割引きとなる。また被救護者割引および特定者割引も設定されている。なお、JR九州は精神障がい者割引は実施していない。

 収受方法であるが、普通乗車券はバス車内で支払うことになり、乗車時に整理券を取って、降車時に前部の運賃箱に運賃を入れる。これは事前に購入した乗車券を所持している場合でも該当する。1扉の小型車では、前乗り前降り、2扉の中型車では後乗り前降りとなるため、各バス停などに券売機は設置されていない。

 PiTaPaを除く、SUGOCA、NIMOCAなどの交通系ICカードも使用可能であるが、これらは電子マネー機能による決済となるため、乗車時に整理券を受け取って、降車時に運転手さんに乗車駅を申告する必要がある。

(つづく)

(前)
(後)

関連キーワード

関連記事