2024年04月29日( 月 )

国際社会主流は反ウクライナ

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は、ゼレンスキー大統領が出席している現在開催中の国連総会とウクライナをめぐる国際社会の声について述べている9月21日付の記事を紹介する。

ウクライナのゼレンスキー大統領が国連総会に出席して演説したが総会の反応は冷淡なものだった。9月19日から29日まで米国・ニューヨークで国連総会が開催されている。

しかし、米ロ英仏中の国連安保理常任理事国トップで参加したのは米国のバイデン大統領のみ。国連の機能不全が鮮明だ。

安保理常任理事国は安保理決議に対する拒否権を保持している。従って、米欧と対立する中ロが合意しない事項は決定できない。米欧による世界の独善支配を防止するうえでは有効だが、多くの問題で世界が足並みをそろえることは困難になっている。

ゼレンスキー大統領はウクライナ戦争でウクライナが勝利しないと第三次世界大戦になると発言して冷笑を買った。国際社会が目指すべきことは一刻も早い停戦の実現。ウクライナにクラスター爆弾や劣化ウラン弾を供与することでない。

9月にインド・ニューデリーで開催されたG20首脳会談にも中国とロシアトップは参加しなかったが議長国インドがとりまとめた共同宣言では「ウクライナにおける戦争が、世界の食料とエネルギーの安全保障におよぼす人的被害と負の付加的影響」についての言及が示されたが、ロシアに対する非難の文言はなかった。

同時に、「異なる見解と評価」の表現が付記された。また、戦争についての表記は「ウクライナに対する戦争」でなく「ウクライナにおける戦争」とされた。

ロシアが悪でウクライナが正義との図式はウクライナの主張。ロシアにはこれとは異なる主張が存在する。

ウクライナ問題を理解するには1991年のウクライナ独立以後の歴史、ならびにウクライナがソビエト連邦の一共和国であった時代にクリミアがソビエト連邦政府によってウクライナ共和国に編入された歴史などを踏まえる必要がある。

第二次世界大戦後の1954年、ソ連のフルシチョフ第一書記の時代にクリミア半島はロシアからソ連を構成する一共和国であるウクライナ共和国に移管された。これはロシア人の多いクリミア半島をウクライナに移管させることで、ウクライナのロシア人比率を高めようとしたものである。

ウクライナでの戦乱が拡大した2022年3月の国連総会緊急特別会合で「ロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議」が採択された際、賛成した国は193カ国中の141カ国、賛成に回らなかった国は52カ国だった。

しかし、これを人口比で見ると賛成国が42%、非賛成国が58%だった。

※続きは9月20日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「国際社会主流は反ウクライナ」で。


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植草一秀の『知られざる真実』

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