2024年04月29日( 月 )

総選挙で岸田内閣にNO

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 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は、「年明け早々にも衆院解散で総選挙となる可能性がある」と主張する10月9日付の記事を紹介する。

 岸田内閣による衆院解散・総選挙の年内実施可能性が低下したと報じられた。共同通信社報道。次のように報じられた。

 「衆院解散・総選挙の年内実施が困難な情勢になった。岸田文雄首相が20日召集の臨時国会で、経済対策の裏付けとなる2023年度補正予算成立を優先させる方針を固めたためだ。補正予算成立は11月後半以降が見込まれ、12月に予定される国際会議や24年度予算編成などを踏まえると年内の衆院選は日程上厳しい状況だ。衆院選は来年以降の可能性が出てきた。複数の政権幹部が6日、明らかにした」。

 共同通信が理由として挙げているのは10月3日の政府与党連絡会議での発言。岸田首相は「今月末をめどに経済対策を取りまとめ、速やかに補正予算を編成し臨時国会に提出する」と表明した。

 共同通信は、「関係者によると、首相は経済対策を取りまとめた直後の衆院解散に慎重な姿勢を周囲に示した。自民党幹部は『補正予算を成立させるなら年内の選挙は難しい』と語った。首相側近は公明党関係者に『年内解散の可能性は低い』と伝えた」と報じた。

 しかし、衆院解散については解散の瞬間まで事前報道が覆される可能性がある。解散なしと決めつけることはできない。

 岸田内閣に対する評価は地に墜ちている。岸田内閣は2021年10月に発足。丸2年が経過した。2022年7月までは前任者・前々任者の印象の悪さの反動で内閣支持率が高位推移した。岸田首相が何もしなかったことも幸いした。岸田首相は2021年10月総選挙、22年7月参院選を乗り切った。衆院解散がなければ国政選挙が3年間空白になるため、「岸田の3年」が到来すると言われた。

 ところが「岸田の3年」は「岸田の残念」に転じた。事態が急変したのが2022年7月14日。安倍元首相が暗殺されたことを受けて岸田首相が安倍国葬実施方針を表明。しかし、国葬に法的根拠がなく、安倍国葬を実施することに対する国民的合意もなかった。結果的に見れば圧倒的多数の国民が安倍国葬実施に反対した。何も決めない岸田首相が独断専横で決定をし始めた途端に支持率が急落に転じた。統一協会問題が露わになり、岸田内閣支持率が危機ラインの3割を割り込んだ。

 22年末には「軍事費倍増」「原発全面推進」「庶民大増税」という三大方針を明示した。国民世論を二分する重大問題について、論議もなく岸田首相が独断専横に決定した。当然のことながら岸田首相支持は地に墜ちた。それでも23年前半は統一協会問題への国民関心低下とサミット日本開催への期待、日韓関係改善の兆しなどの要因に支えられて内閣支持率が小幅回復した。

 岸田首相が解散を決断できる唯一のチャンスが到来したが、岸田首相は決めきれなかった。広島サミットは核廃絶への道筋を示す最大の機会だったが岸田首相は広島ビジョンに「核兵器は役に立つ兵器である」ことを明記して貴重な機会をフイにした。

 この秋、岸田首相は内閣改造、統一協会への解散命令請求発出、景気対策策定の三本柱を掲げて衆院解散・総選挙に挑む考えであったと推察される。しかし、解散・総選挙を回避する場合は、そのまま総選挙なしで来年9月の自民党総裁選を迎えることになる。

 支持率回復の見通しは立たない。衆院総選挙をにらみ、自民党は総裁交代に突き進む可能性が高い。岸田氏は「座して死を待つ」ことを避ける行動を示すのではないか。臨時国会で補正予算を成立させた後に衆院解散を実施する可能性がある。その場合には1月ないし2月総選挙の可能性が浮上する。年内の総選挙可能性が低下しても、年明け早々の衆院総選挙実施可能性を念頭に置くべきである。

※続きは10月9日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「総選挙で岸田内閣にNO」で。


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植草一秀の『知られざる真実』

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