2024年04月28日( 日 )

消費税減税こそ最優良経済政策

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 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は、財務省が国民に対する4兆円の負担軽減策に「そんなお金はない」との風説を流布することが犯罪的であると主張した11月10日付の記事を紹介する。

 「借金して減税するのは馬鹿だ」との言説が流布されているが、この情報流布は財務省の思惑によるもの。主張の出所と思惑の背景を理解しておかないとザイム真理教の罠にはまる。

 たしかに岸田首相の提案は筋が良くない。
 どの筋が悪いのかと言えば
 1.減税の時期を来年夏としていること
 2.減税の規模が小さすぎること
 3.減税が1回限りのものであること

 このような減税を実施しても効果はない。1人4万円の減税を1回限りで実施するなら4万円の一律給付にして年内に実施すればよい。また、財政政策の目玉として政策を提示するなら党内、政府内関係部局の根回しをしておく必要がある。

 首相の政策提言を財務相が批判すること自体が異常。岸田首相は首相としての実権を失っていることを示している。また、岸田氏は自民党総裁を兼ねているのだから自民党から異論が噴出することがおかしな話。自民党旧安倍派を中心に岸田降ろしが始動してしまっているということになる。

 岸田首相退陣が想定より早まる可能性が拡大していると推察される。財政論議に話を戻すが、借金で首が回らないという「フェイクニュース」に国民が騙されている。国家財政の基本構図を正確に理解すると、近年の財政政策運営が完全に常軌を逸していることが分かる。

 「4兆円の減税の財源がない」などという財務相の与太話に国全体が騙されているのである。2022年度と2023年度の当初予算ベースの一般会計・特別会計歳出純計を見てみよう。まずは2022年度歳出純計を見てみよう。

 歳出純計額は270兆円。2022年度の日本の名目GDPが563兆円だからGDPの2分の1を超える。
 とてつもない金額が政府から支出されている。しかし、政府が政策運営のために支出する金額はこの数字とはかけ離れて圧倒的に小さな数値になる。

 「その他」の34兆円が社会保障以外の政策支出の合計値になる。国債費93兆円は国債の利払い費と償還費。金額が大きいが償還する国債の財源の大部分は国債の発行によって賄われる。国債の満期が到来すると償還金を払うが、そのお金は「借換国債」を発行して賄っている。基本的に「右から左」のお金の流れになる。

 社会保障関係費が97兆円と大きい。年金・医療・介護の支出だ。国・地方合わせて社会保障給付は131兆円に達するが、最大の財源は保険料収入の74兆円。国が負担するのは36兆円だ。国の財政支出のなかで一番大きなウエイトを占める。

 残りは地方公共団体に使途自由な財源として提供する地方交付税交付金が20兆円、国が行う貸付の原資支出が26兆円だ。「その他」のなかに「防衛関係費」5・4兆円、コロナ予備費5.0兆円、予備費1.2兆円がある。

 「その他」から「防衛関係費」、「コロナ予備費」、「予備費」を差し引くと22.8兆円。これが1年間の政策支出(社会保障・防衛・コロナを除く)の合計金額になる。このなかに公共事業、文教及び科学技術振興、食糧安定供給対策、エネルギー対策、経済協力、中小企業対策などのすべての支出が含まれる。
 国の政策支出の合計金額は1年間で23兆円である。

 その一方で、例えば2022年度は「コロナ」を建前にして、なんと73兆円の支出追加を行った。この年は税収見積もりを下方修正したからその財源補填を含めて80兆円の国債を増発してこの補正予算を組んだ。財政事情が苦しいならこのような放漫財政を実行できるわけがない。

 73兆円の補正予算は、一律給付金の13兆円を除き、その支出の大半が利権支出で消えた。このような放漫財政を仕切ったのは財務省。その財務省が国民に対する4兆円の負担軽減策に「そんなお金はない」との風説を流布することが犯罪的であると言える。

※続きは11月10日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「減税財源がないという与太話」で。


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植草一秀の『知られざる真実』

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