2024年05月13日( 月 )

自民裏金事件厳正立件を監視

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 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は、自民党最大派閥の「清和政策研究会」が組織的に裏金づくりを行っていた件について述べた12月10日付の記事を紹介する。

 ノルマ以上に販売したパーティー券の収入が派閥から議員個人に還流。しかし、議員の資金管理団体の収入にその資金を計上しない。当然のことながら、支出の記録も残さない。まったく表に出ない金がつくられていた。

 自民党最大派閥の「清和政策研究会」(安倍派)は組織的に裏金づくりを行っていたと見られる。同派の事実上トップである「座長」を務める塩谷立・元文部科学相ほか、派閥の有力者で「5人衆」とされる松野博一官房長官、高木毅党国会対策委員長、世耕弘成党参院幹事長、萩生田光一党政調会長、西村康稔経済産業相に直近5年間で、それぞれ1,000万円超~約100万円の裏金が派閥からキックバックされ、政治資金収支報告書に記載されていなかった疑いがあることが報じられている。

 1,000万円と100万円では金額に大きな開きがあり、同列には扱えないが巨額の資金を意図的に裏金として創作していたことが事実であるなら重大な犯罪である。一部報道では岸田首相が松野博一官房長官の更迭を決めたとされる。この報道が事実なら、岸田内閣はこの問題で間違いなく崩壊する。

 官房長官更迭は岸田首相がこの問題を重大問題であると認めることを意味するからだ。重大問題でないなら官房長官を更迭する必要がない。更迭するということは問題が重大であることを認めることを意味する。重要であるのは問題が発覚したばかりで解決には長大な時間を要すると考えられること。

 この段階で官房長官を更迭するのは、キックバック=収支報告書への不記載が重大であるから。事件はここから大きく広がることになる。パーティーで集めたお金を政治家自身が着服していたことになる。派閥からキックバックを受けていたとしても、そのキックバックを政治家資金管理団体等の収支報告書に記載して届け出ていれば犯罪とはいえない。

 しかし、収支報告に記載せず、闇に葬るなら政治資金規正法違反になる。このプロセスを意図して実行していたなら極めて悪質性が高い。捜査当局は厳正に刑事責任を問う必要がある。議員本人を逮捕・起訴する必要が生じることになるだろう。官房長官を更迭すれば済む話でない。

 しかも、対象は松野博一官房長官1人でない。高木毅国対委員長、西村康稔経産相にも波及する。
自民党参院幹事長・世耕弘成氏にも多額の資金が還流していたと報道されている。問題を明らかにされた議員は報道が事実である場合には議員辞職を求められることになるだろう。官房長官1人の更迭で済む話でない。

 国民が生活苦にあえぐなかで、自民党議員が1,000万円単位、億円単位の裏金をつくり、懐に入れてきた事実を日本の主権者が許すわけがない。

※続きは12月10日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「あり得ない内閣不信任案不提出」で。


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植草一秀の『知られざる真実』

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