2024年04月15日( 月 )

注意すべき問題社員への対応

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 問題社員を解雇したいという相談をよく受けます。人手不足の昨今、求人に対する応募も少ないことから、十分検討することなく採用した社員に問題があったなどという相談が増えています。

 問題社員といっても、仕事を覚えられないなどの能力不足、仕事を怠ける、素行が悪い、協調性がない、人間関係のトラブルが多いというようなことから、業務命令に従わない、さらには背任・横領などの不正を行うなど、多岐にわたります。いずれにしても問題社員を放置することは、他の社員への悪影響をおよぼしますので、適切に対処する必要があります。

 背任・横領などの犯罪行為は、ほとんどの企業で懲戒解雇事由となっており、被害がよほどの少額でなければ、適正な手続きを経て処分すれば、懲戒解雇の効力は否定されないでしょうし、後日争われることも少ないでしょう。ただし、非違行為について明確に証明できる証拠固めは重要です。

 しかし、その他の問題社員を解雇するためには、「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」という2つの要件を満たす必要があり、ハードルが高いです。とくに企業には、社員に対し教育・指導する責任があり、単に問題行動がある、他の社員とうまくいかない、能力不足といった現状のみをもって解雇は認められません。企業は、十分に教育・指導し、その社員に適切な注意・処分などを行い、それでも改善されず、企業内にとどめおくことができないという場合にのみ、解雇が認められます。

岡本弁護士
岡本弁護士

    また、裁判になった場合には、このような事実を証拠によって証明しなければいけません。

 そのため、日々の問題行動や指導内容などを、日々記録として残しておくことが必要です。メールでやりとりをすることも、記録化という点では効率的です。ただし、注意が必要なのは、教育・指導は、真実、その社員に問題点を改善してもらうという観点から、しっかり検討して実施することです。人手不足の状況ですので、真摯な教育・指導の結果、社員の勤務態度が改善し、解雇する必要がなくなるのが最善です。また、仮に解雇して訴訟などで争われた場合には、解雇に追い込もうという意図でやりとりをしていれば、裁判官にもそれが伝わり、あまり良い印象を与えないことになる場合もあります。

 以上の教育・指導の結果、それでも勤務態度が改善せず、懲戒処分を行ってもまだ勤務態度が悪く改善の見込みがない場合は、解雇という手段を最終的に検討することになります。

 しかしながら、解雇した場合に争われて裁判になれば、敗訴するリスクもあります。敗訴すれば、解雇後社員が職場に復帰するまでの未払賃金を支払うことになります。また、勝訴したとしても、裁判のために多大な時間と、証拠整理の労力と、弁護士費用等の費用などの多大な負担が発生します。

 このように解雇するデメリットも大きいことから、この段階でもできるかぎり円満退職してもらうことが望ましいといえます(横領・背任などの懲戒解雇事由が存在し、社内の規律維持のため、懲戒解雇をすべき場合は例外です)。
 円満に退職してもらう方法については、別の機会に解説いたします。


<INFORMATION>
岡本綜合法律事務所

所在地:福岡市中央区天神3-3-5 天神大産ビル6F
TEL:092-718-1580
URL: https://okamoto-law.com/


<プロフィール>
岡本  成史
(おかもと・しげふみ)
弁護士・税理士
岡本綜合法律事務所 代表
1971年生まれ。京都大学法学部卒。97年弁護士登録。大阪の法律事務所で弁護士活動をスタートさせ、2006年に岡本綜合法律事務所を開所。経営革新等支援機関、(一社)相続診断協会パートナー事務所/宅地建物取引士、家族信託専門士。ケア・イノベーション事業協同組合理事。

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