2024年07月19日( 金 )

生まれ変わるリバーフロント・清流公園(1)

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シンボリックな建物が建つ南側エリア(イメージ)(提供:福岡地所)
シンボリックな建物が建つ南側エリア(イメージ)
(提供:福岡地所)

水辺のロケーションを生かした憩いの空間と賑わいの創出を

 福岡市によるPark-PFIを活用した「清流公園整備・管理運営事業」の事業者公募において、福岡地所(株)を代表とするグループが優先交渉権者となった。

 今回の公募は、2023年3月に福岡市が事業者公募を開始した清流公園(博多区中洲1・4・5丁目、中央区春吉3丁目など)におけるPark-PFIを活用した公園整備・管理運営事業の事業者を決めるためのもの。福岡地所グループにはほかに、(株)サン・ライフ、(株)エフ・ジェイエンターテインメントワークス、(株)梓設計 九州支社、(株)復建エンジニヤリング 福岡支社、(株)スタジオ・ゲンクマガイ、(株)筑糸建設、安藤造園土木(株)、日新産業(株)が構成員として参加している。

 福岡地所グループが提案した内容では、基本方針として「貴重なリバーフロント環境を活かした都心部ならではの憩える場を創出し、リバーフロントNEXTの実現に貢献する創造的な取り組みを実施」「福岡から発信する新しいカルチャーを生む多様な活動の場や、そこから生まれる賑わいの場、継続的に魅力のある集客力の高いイベント運営を実現」の2つを提示。憩いや賑わいの場の集積と象徴的な公園施設が都心の回遊を促進するとして、キャナルシティ博多に近接する公園南側に、福岡の新たなランドマークとなり得るシンボリックなデザインの施設を配置する。

 同施設建物は、南北に伸びる大きなウイング状の外観が特徴。地域イベントから中洲JAZZ等の大型イベントまで開催可能な開放的なイベント広場を中央部に整備し、その広場を挟むかたちで施設建物が配置される。建物屋上部分は階段状のテラス仕様とすることで、平常時は憩いの場、イベント時は観覧席としての活用を想定。施設には、水辺の景色を1日中楽しめるオールデイダイニングやカフェを中心に、公園利用者のライフスタイルの満足度を高めるテナントを誘致予定で、夜間には特徴的な建築デザインを引き立てるライトアップも実施予定となっている。同施設の建築デザインは、アメリカ建築家協会やNASA、ニューヨーク市などからの多数の受賞歴を有する Clouds Architecture Office(米)が担当する。

 また、春吉橋の架替えにともなう迂回路橋を生かした橋上エリアでは、公園利用者を迎え入れる玄関口としてふさわしい、緑あふれる憩いの空間を整備。さまざまなイベントに対応可能な広場空間には、一部稼働式の各種ファニチャーを設置し、川を眺めながら公園利用者が思い思いに滞在できる場を提供していく。さらに那珂川河畔の北側エリアでは、公園利用者の多様なアクティビティが連続して発生する仕掛けを配置。変化に富んだ景色を楽しめる、歩いて楽しい通りに整備していくほか、桜が多く植えられているところには常緑樹を追加し、冬場でも緑あふれる通りにしていくとしている。なお、橋上エリアおよび北側エリアでも、それぞれテイクアウトに特化した小規模な飲食店を1カ所ずつ配置していく予定。

 「水辺のロケーションとエリアの特性を生かした公園整備、施設整備による憩いの空間創出と、多様なイベント開催による賑わいの創出を通じ、公園利用者の利便性や満足度の向上、都心部の回遊性強化を図り、エリアの魅力増進に貢献したいと考えています」(福岡地所・広報)。

 清流公園のリニューアルは今後、24年度の着工および25年春以降の順次供用開始を予定している。

那珂川河畔で進む、リバーフロントNEXT

 これからリニューアルが進んでいくことになる清流公園は、もともと戦後の復興土地区画整理事業によって整備され、1952年度に開園した街区公園である。那珂川の下流域に面し、北は昭和通りから南はキャナルシティ博多に至る那珂川東岸に広がる約9,000㎡の広さの細長い形状の公園で、ちょうど天神と博多駅を結ぶ回遊軸上に位置している。

 清流公園が立地する那珂川下流域の沿岸一帯は、九州・福岡を代表する歓楽街「中洲」や、やや落ち着いた雰囲気の漂う天神の奥座敷「西中洲」となっており、飲食店などが多く立ち並ぶエリアである。そうしたなかに立地する清流公園は、人々が川沿いを眺めながらくつろげる憩いの場であるとともに、春吉橋から南の川岸には夜間に屋台が軒を連ねるスポットとしても有名。また、キャナルシティ博多に隣接する南端部広場は、中洲まつりや中洲JAZZなどのイベント会場としても利用される賑わいの場となっている。さらに23年4月からは春吉橋の架替えにともなう迂回路橋を生かした橋上広場も同公園区域に編入されており、イベントができる広場として供用開始されている。

 公園内には数々のモニュメントが設置されているが、その代表的なものが、南側エリアの突端部にある「博多町家寄進高灯篭」だろう。この灯籠は1899(明治32)年に開園した遊園地「向島」の開園記念に建設されたもので、54年に清流公園内に移設された。協賛した商店の屋号が所狭しと刻み込まれた現在の広告塔の走りといえるもので、当時の博多経済界を知るうえでの貴重な民俗資料となっている。公園内にはほかにも、「原田種夫文学碑」や博多人形師・小島与一の作品をモチーフとした「三人舞妓」の銅像など、数々のモニュメントが設置されており、公園内を歩いて楽しむ際のアクセントとなっている。また、公園区域には含まれていないものの、那珂川を境に東の商人の町・博多と西の城下町・福岡をつなぐ意味合いの名が付けられた「福博であい橋」が中ほどに架橋されており、目と鼻の先に天神中央公園の「旧福岡県公会堂貴賓館」や「HARENO GARDEN EAST&WEST」などのスポットも存在。清流公園とも併せて、那珂川河畔の魅力的な景観を構成する要素となっている。

 福岡市では現在、都心部の回遊性向上を図るため、水辺や風を感じることができ、福岡を代表する風景でもある那珂川沿いの須崎公園から清流公園までのエリアにおいて、川に向かって開かれたまちに誘導していく、水辺を生かしたまちづくり「リバーフロントNEXT」に取り組んでいる。リバーフロントNEXTでは、天神ビッグバンの「東のゲート」である水上公園が16年7月にリニューアルオープンしたのを皮切りに、17年には西中洲地区石畳舗装の整備開始や、19年8月の天神中央公園西中洲エリアリニューアルオープン、21年の須崎公園リニューアル工事の着工、23年の天神中央公園西中洲エリアライトアップのリニューアルと、関連する事業を次々と着手。エリア全体の魅力をさらに高めていくため、須崎公園から清流公園までの川沿いの公園等を管理する福岡市と、二級河川である那珂川や天神中央公園等を管理する福岡県とが連携するかたちで、取り組みを順次進めている。今回の清流公園のリニューアルも、このリバーフロントNEXTに関連する事業の1つで、完了の暁には、福岡市の水辺を生かしたまちづくりがまだ一段階進むことになる。

(つづく)

【坂田憲治】

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