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2015年11月02日 13:34

柳川商店街再生の試み(6) 地域づくりにマーケティング発想を! 

 前回に引き続き、柳川商店街の「地域状況調査」分析における住民・消費者アンケート調査の結果を記します。

【コミュニティ施設の利用意向】
 前回、地域のコミュニティ形成には主として「喫茶店・レストラン」といった気軽な場所が利用されていることを明らかにしました。
 そこで、柳川商店街のなかに趣味活動や地域行事の集まりができるような施設ができた場合の利用意向を聞いてみると、その利用意向は77.4%と大変高い比率を示しました。商店街にコミュニティ機能が求められていることは明らかです。

【柳川商店街に求めるもの】
 上記に関連して、具体的に消費者が柳川商店街に求めるものを聞いてみると、「空き店舗の活用」が54.5%と第1位に挙げられており、これに「取扱商品・品揃えの充実」の45.2%、「街並みの美化運動や景観整備」の39.4%が3大重要項目となっています。
 この3項目は、空き店舗の増加が商店街の品ぞろえ機能を失い、景観も破壊していると関連づけられます。空き店舗化の食い止めはどこの商店街も深刻かつ大変重要な問題ですが、これは、単に店舗のシャッターを開ければよいということではなく、商店街そのものの消費者に対する位置づけ、買い物や利便性といった機能の確認、さらには、景観に代表されるまちづくりといった側面からの対応が必要です。
 とくに、柳川商店街は観光客の誘引という課題を抱えていますので、景観という要因は大変重要かと思われます。

【マルショク跡地への要望施設】

マルショク跡地への要望施設 マルショク跡地への要望施設

 既述のように、柳川商店街には中心部にマルショクというスーパーマーケット(SM)が立地していましたが、これが2008年に撤退し、約350坪の用地が未利用のままとなって空地状態になっています。このマルショク跡地にどのような施設を整備することが望まれるかを聞いてみると(グラフ参照)、まず、「生鮮食料品」を47.5%の消費者が望んでいます。実は、この柳川商店街には、生鮮食料品を扱う店が数店舗しかなく、地域の消費者の食の需要をまかなうに至ってない(至らなくなった)のが現状です。これでは、消費の重要な要素である食料品購買力が郊外のSMやショッピングセンター(SC)に流出するのは当然です。食料品購買が逃げれば、必然的に衣や住に関連する消費も逃げるのはこれも当然です。それにつれて商店街の力が落ち、空き店舗が増加するという負の連鎖が起こりつつあるのです。これもどこの商店街にも共通する現象でしょう。
 さて、「生鮮食料品」の次に挙げられたのが「カフェ・喫茶・飲食等のくつろぎの場」で、36.5%です。先にみたコミュニティ形成の場で「喫茶店、レストラン等」が第1に挙げられていたこともあってこのニーズが大変強いのです。これも既述のグループ・インタビューの結果と対応しています。
 また、少し割合は低くなりますが「高齢者の憩いの場」(23.5%)、「子供の遊び場」(22.6%)も第3位、4位に挙げられています。この視点も大事です。

【商店街の環境整備ニーズ】
 マルショク跡地への要望と関連して、商店街の環境整備へのニーズも聞いています。「駐車場の整備」が49.6%と半数近くの消費者に望まれています。現在、駐車場は商店街の中央部にかなりの台数が収容できるものがありますが、より安く(無料)、より近くにというのが消費者のニーズです。これも商店街にとって永遠の課題です。
 これに次いで「商店街の中の歩道の整備」が31.6%で第2位のニーズとなっています。商店街のなかに歩道が一部しかなく、大きな車が通った際には、歩くのに少し危険を感じる商店街だけに、歩道のニーズが強くなっています。
 以上のように住民・消費者アンケート調査により、数々の問題点・今後の課題が明らかになりました。

 では、商店街の構成員である柳川商店街の各店舗の経営者は商店街の課題、将来についてどのように考えているでしょうか。この点を明らかにするために「柳川商店街会員アンケート調査」も実施しています。
 この結果は、次回に。

(つづく)

<プロフィール>
100609_yoshidaM&R 地域マーケティング研究所
代表:吉田 潔
和歌山大学観光学部特別研究員(客員フェロー)、西日本工業大学客員教授、福岡大学商学部非常勤講師。

 
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