2024年11月12日( 火 )

立憲福岡、城井県連代表の指導力不足で党勢拡大が停滞(中)

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 9日に衆議院が解散し総選挙に突入するが、自民党の政治資金パーティーの問題などで、自民党は大きく議席を減らすとみられている。野党にとっては政権交代のまたとないチャンスだが、野党第一党の立憲民主党福岡県連・城井崇代表の指導力に対する疑問の声が上がっている。

民主党の躍進と郵政選挙での落選

 城井氏は2003年11月の選挙で、民主党公認で福岡10区から立候補した。現職だった自民党の自見庄三郎氏に敗れるが、比例九州ブロックで復活当選した。

 当時、首相は小泉純一郎氏で、安倍晋三元首相が自民党幹事長という体制の下で選挙は行われた。選挙直前に当時の民主党と自由党の合併が行われ、野党第1党として衆院選に臨んだ民主党は「政権交代」を打ち出した。公示前137議席から40議席増の177議席を獲得し大きく躍進した。

 この選挙では民主党が都市部を中心に躍進し、北九州市の小倉北区などを選挙区とする城井氏は自民現職の自見氏に敗れたものの、その後の道筋をつけることになった。

 小泉政権は「聖域なき構造改革」を掲げ、郵政民営化法案など自民党内の抵抗も押し切って推進した。郵政民営化法案が参議院で否決された場合、「衆議院を解散して国民の信を問う」と明言していた。参議院での郵政法案否決を受けて、小泉氏は衆議院を解散した。

 05年9月に行われた総選挙で、小泉氏は反対した自民党議員に刺客を立てた。自見氏は元郵政大臣であり、郵政民営化により地方から郵便局が失われることなどマイナス面を危惧し、郵政民政化法案に反対票を投じていた。その自見氏に対して自民党本部は西川京子氏を送り込んだ。自見氏も城井氏も、「抵抗勢力」「郵政民営化是か非か」の「小泉劇場」のなか、厳しい選挙戦を強いられ2人とも落選、比例復活もできなかった。

メディアの反応に敏感な理由

 この選挙は「郵政選挙」と呼ばれ、マスメディアが有権者に与えた影響が大きく、新聞も朝日から産経まで郵政民営化賛成論一色であった。北九州市は政令市であり、中心部の小倉が選挙地盤の城井氏は自見氏の落選を見て、いかに期数を重ね大臣を務めた現職でも、メディア報道によって当落が左右される現実を思い知ったのだろう。

 ところで、筆者が以前、福岡10区の保守分裂状況などについて、城井氏を取材した際に「他党のことはコメントする立場にない」という回答がたびたびあった。

 だが、立憲の関係者は「城井さんはメディアの報道を気にしています」と語っており、05年の郵政選挙で、圧倒的なメディアの報道が選挙に与える影響を、身をもって知ってたのではないだろうか。

 城井氏は09年9月の民主党政権誕生となった選挙で小選挙区で当選したが、4年にわたり浪人として党務に従事する傍ら、国政復帰の活動を行い、亀井静香氏らの国民新党に入党した自見氏の支援を受けている。07年には民主党の衆議院議員だった北橋健治氏が北九州市長に当選したが、この際は城井氏も北橋市政の誕生に尽力している。

 城井氏は北九州市中心部が地盤という都市型政治家であるが、福岡県も福岡市などの福岡都市圏や、旧産炭地の筑豊地域、久留米市などの県南とかなり範囲が広い。筑豊や県南地域は、旧民主党時代から地方議員がなかなか増えなかった。

 7月の記事「城井立憲県連代表主導の参議院公募の在り方に異論続出」で既報のように、城井氏が党内の慎重論を押し切って野田国義氏の3選を認める動きをしたのは、自身の影響力がおよばない県南を、八女市長を務めた経歴を持つ野田氏に任せてきた点もあるだろう。県連内でも「野田氏の件は頑なだった」との声が聞かれた。

 北九州市や福岡市といった都市部やその周辺は人口も多く、リベラルな層も少なくない。野党支持層が多いともいえる。前述のように、03年の衆院選で旧民主党が躍進した理由は、都市部で得票を伸ばし議席を増やしたことにあった。だが、来る衆院選で自民党に勝って政権交代を実現するためには、福岡都市圏はもちろん、農村部など都市部以外で議席を増やす必要がある。

 はたして城井氏の采配によって、来たる総選挙で、かつて09年の選挙で福岡県11選挙区のうち8選挙区を民主党が制圧した状況に迫れるかどうかが問われることになる。

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【近藤将勝】

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