2024年03月29日( 金 )

九州地銀の15/9月期(中間)決算を検証する(9)

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九州地銀金融再編を占う(2)

第二地銀
 基本的に第二地銀は財務体質が弱く、今も厳しい経営環境にあるのが現状だ。西日本シティ銀行のトップは歴代旧大蔵省(現財務省)出身者が就任しており、谷川浩道頭取には第二地銀の金融再編を急ぐ金融当局の大きな後ろ盾がある。


◆佐賀共栄銀行
二宮洋二頭取は谷川浩道頭取と同じく旧大蔵省出身であり、他のグループと接触することはなく、西日本シティ銀行が来年10月に設立する西日本FG(仮称)への参加に名乗りを挙げることになりそうだ。


◆宮崎太陽銀行
・競合する宮崎銀行が九州FGへ参加する可能性が高く、選択の余地は西日本FGかふくおかFGのどちらかになるものと見られる。宮崎太陽銀行の財務内容を検査してきている金融当局の意向を受けて、西日本FGとの経営統合に参加するものと推測される。


◆南日本銀行
・競合する鹿児島銀行が肥後銀行と経営統合し攻勢を強めており、また鹿児島相互信用金庫(15/9月期:預金残高5,213億円、貸出金3,453億円)を上回ってはいるものの、このまま単独で生き残ることはできない状況にある。南日本銀行にはふくおかFGとの提携の道も残されてはいるが、宮崎太陽銀行と同様に金融当局の意向を受けて、西日本FGとの経営統合に踏み切ることになりそうだ。

まとめ

 グループに属さない銀行が単独で生き残るにはさらに大きな障害が立ちはだかっている。人口の減少にともなう地域経済の縮小とゆうちょ銀行の民営化による攻勢があるからだ。特に第二地銀にとってはもはや待ったなしの状況に直面していると言えそうだ。
 また、金融グループの九州FGにとっても、西日本シティ銀行GがFG設立を予定しており、このままではじり貧状態に陥る可能性が出てきている。経営統合して間がないものの、いかに早く新たに参入する銀行を迎え入れる体制を構築できるかどうかが問われている。新経営陣の力量が試されていると言えよう。
 生き残りを賭けた金融再編を大胆予想したのが【表1】だ。この通りになるかどうかは別だが、大きく外れることはないものと思われる。今まさに九州地銀は金融戦国時代を迎えていると言っても過言ではないのかもしれない。

(了)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

 

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