悪辣なCIA〈工作〉の歴史

 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は「CIA=G2主導の〈勝共〉を軸にする対日政治〈工作〉は現在まで脈々と引き継がれている」と指摘する5月16日付の記事を紹介する。

 とても面白い本を紹介させていただく。孫崎享著『私とスパイの物語』(ワニブックス)https://x.gd/S0oGS

 紹介文には次のようにある。
元駐イラン大使・元国際情報局局長 孫崎享。元外務省・情報機関のトップが書き残す、世界の諜報活動の実態と自伝的回想録!日本で最もスパイと接触、交流した人物が描き出す圧倒的迫力で迫るスパイ・ノンフィクション

 孫崎氏は東京大学法学部在学中に外交官試験に合格。東大を中退して外務省に入省。英国、ソ連、イラク、カナダに駐在。その後、駐ウズベキスタン大使、駐イラン大使を歴任した。外務省本省では国際情報局長を務められた。

 本書の最大の特徴は〈実話〉であること。私とは別人の〈スパイ〉について記述しているが、私自身が〈スパイ〉の側面を有するということ。末尾に「私は『スパイ』の世界の外の人間」と記述されているが、十分に良い意味での〈スパイ〉の範疇に含めてもよい気がする。

 外務省に入省した孫崎氏の足跡に沿うかたちで〈物語〉は語られる。歴史に記録されるさまざまな事象が登場する。多くの事象が人々の耳目を集めた重要事実である。

 孫崎氏は多くのスパイ映画を紹介する。そのスパイ映画が現実の事実と交錯する、と孫崎氏は語る。現実の実相を知らなければ、微に入り、細に入る描写を施すことはできないという。誰もが知る著名な映画の著名な俳優が実はスパイであったという事実も披歴される。

 世界で一番有名な反戦歌とも言われる『花はどこへ行った』。孫崎氏が好きな曲。
「ずいぶん時間が経った。
全ての花はどこに行ってしまったのか?」との問いかけから、主題が、花から花を摘んだ若い女性に、若い女性から兵隊に、兵隊から墓場に、墓場から再び花に移り替わる。そして、「いつになったら皆が分かるのだろう?いつになったら皆が分かるのだろう」の言葉で締めくくられる。

 戦争を絶対にやめようとの思いが込められた歌。ピーター・ポール&マリー、ボブ・ディラン、ジョーン・バエズなど、多くのアーティストが歌ってきた。そのなかで、孫崎氏はマレーネ・ディートリヒの歌い方が心に最も染みるという。
Marlene Dietrich
“Where Have All the Flowers Gone?”
Live TV, 1963
https://www.youtube.com/watch?v=kveooWmqqr8#:~:text=Marlene%20Dietrich%20sings%20Peter%20Seeger%27s%20%22Where%20Have%20All,at%20the%20Prince%20of%20Wales%20Theatre%20in%20London.

 たしかに心に染み入る歌声である。数々の人生の難関を乗り越えてきた人にしか醸し出せない歌声だと孫崎は語る。孫崎氏は彼女が三重スパイであったと言われても全く驚かないと言う。彼女の魅力はスパイと呼ばれる人々の中にある魅力かもしれないという。

 外交官とスパイはどこが違うのか。外交官は相手の国内法を守って行動する。しかし、スパイは反モラル的行動や、相手国の法律にとらわれずに行動する、とのこと。

 007の映画を見るとスパイの世界が華麗に描かれる。しかし、現実はそのようなきれいごとではない。米国の情報機関であるCIAは2つの柱によって構成されている。〈情報部門〉と〈工作部門〉。〈工作部門〉に禁忌=タブーはない。なんでもやる。この事実を私たちは正確に知っておく必要がある。

※続きは5月16日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「悪辣なCIA〈工作〉の歴史」で。


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植草一秀の『知られざる真実』

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〔場所〕
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〔プログラム詳細〕
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質疑応答 午後4時半~5時15分
出版記念パーティー(軽飲食付き) 午後5時15分~6時
〔講師〕
植草一秀氏(政治経済学者)
〔参加費〕
1万円(飲食、新刊書籍、書下ろし資料代含む)※要申込
〔お申し込み先〕
専用フォームあるいはTEL、FAXにて
専用フォーム
TEL:092-262-3388
FAX:092-262-3389
主 催:(株)データ・マックス

※当セミナーの詳細な内容は告知記事にてご確認ください。

<プロフィール>
植草一秀
(うえくさ・かずひで)
1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーヴァー研究所客員フェロー、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ(株)=TRI代表取締役。金融市場の最前線でエコノミストとして活躍後、金融論・経済政策論および政治経済学の研究に移行。現在は会員制のTRIレポート『金利・為替・株価特報』を発行し、内外政治経済金融市場分析を提示。予測精度の高さで高い評価を得ている。政治ブログおよびメルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」で多数の読者を獲得している。

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