独立革新・真正野党勢力の確立

 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は「立憲民主党内に〈独立革新〉勢力が存在するはずだ」と指摘したうえで「この勢力が〈ゆ党〉化した立憲民主から独立して〈独立革新〉勢力の核を構築するべきである」と論じた6月5日付の記事を紹介する。

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 韓国の第14代大統領に李在明(イジェミョン)氏が選出された。第13代大統領の尹錫悦(ユンソンニョル)氏が弾劾、罷免されたことに伴う大統領選で李氏が選出された。新大統領は革新系の〈共に民主党〉を基盤とする。韓国では親米保守と独立革新の政権がおよそ10年周期での交代を繰り返している。民主主義が健全に機能している、世界でも稀有な例であると言える。

 親米保守の朴槿恵(パククネ)大統領が弾劾・罷免されたあと、独立革新の文在寅(ムンジェイン)氏が大統領職を全うし、その後に尹錫悦氏が大統領に就任した。韓国では親米保守政権と独立革新政権がそれぞれ2期10年を交互に担うことが多かったが、2022年の大統領選では文在寅大統領退陣後、独立革新政権が1期5年で親米保守の尹錫悦大統領にバトンを引き継いだ。しかし、尹大統領が突然、特別戒厳令を発動し、韓国を大混乱に陥れ、その行為によって尹氏は大統領を罷免された。

 親米保守と独立革新による政権交代の繰り返しは韓国主権者の民意を反映するもの。親米保守と独立革新の主張は大きく異なるが、異なる民意が定期的に政権を樹立することは多様な民意を反映する政治システムとして特筆に値するものと言える。

 韓国では歴代大統領が任期終了後、もしくは任期中に刑事訴追されて投獄されるケースが極めて多い。大統領就任の際にはその先に控える過酷な運命を覚悟することが求められるとも言えるが、それでも、政治状況が定期的にリシャッフルされる状況は日本から見ればうらやましい限り。

 日本では1955年に保守合同が実行されて自由民主党が創設された。自民党創設には米国CIA資金が投下されたことが明らかにされており、米国が主導する日本政治体制の構築であったと言える。

 1955年の保守合同以来、70年間にわたり、短期の例外時期を除いてこの自民党が政権の中枢に居座り続けてきた。「権力は腐敗の傾向がある。絶対的な権力は絶対的に腐敗する」はイギリスの思想家ジョン・アクトンの言葉だが、自民党の腐敗は深刻である。この70年間に繰り返し〈政治とカネ〉の腐敗が表面化してきた。しかし、悪弊は是正されない。いまもなお、巨額の裏金事件が表面化したまま、全容解明に至っていない。

 敗戦後の日本において主権者の選択で〈革新政権〉が樹立されたのはわずかに2回。1947年の片山哲内閣と2009年の鳩山由紀夫内閣だけである。1993年には7党1会派による細川護熙内閣が樹立されたが、これは選挙後に第2党以下の政党が協議して内閣を樹立したもの。この意味では1947年の片山内閣も選挙後の連立協議によって樹立されたもので、主権者の明確な意思で政権交代が遂行されたのは2009年の鳩山内閣だけということになる。

※続きは6月5日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「独立革新・真正野党勢力の確立」で。


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2025年6月20日(金)午後3時~6時
〔場所〕
福岡市民ホール(小ホール)
〔プログラム詳細〕
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質疑応答 午後4時半~5時15分
出版記念パーティー(軽飲食付き) 午後5時15分~6時
〔講師〕
植草一秀氏(政治経済学者)
〔参加費〕
1万円(飲食、新刊書籍、書下ろし資料代含む)※要申込
〔お申し込み先〕
専用フォームあるいはTEL、FAXにて
専用フォーム
TEL:092-262-3388
FAX:092-262-3389
主 催:(株)データ・マックス

※当セミナーの詳細な内容は告知記事にてご確認ください。

<プロフィール>
植草一秀
(うえくさ・かずひで)
1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーヴァー研究所客員フェロー、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ(株)=TRI代表取締役。金融市場の最前線でエコノミストとして活躍後、金融論・経済政策論および政治経済学の研究に移行。現在は会員制のTRIレポート『金利・為替・株価特報』を発行し、内外政治経済金融市場分析を提示。予測精度の高さで高い評価を得ている。政治ブログおよびメルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」で多数の読者を獲得している。

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