販売店起点にDX支援事業を展開 地方の未来を支える総合通信事業者の挑戦

(株)ジャパンネットワークグループ

齊藤拓也代表
齊藤拓也 代表

 (株)ジャパンネットワークグループは、通信分野で培った技術と現場対応力を武器に、DX支援事業を本格化させている。福岡を拠点に、スマートデバイスやクラウドツールを駆使しながら、地方における中小企業の業務効率化とデジタル格差の解消に挑む取り組みを進めている。

販売代理店軸に展開し
総合通信業者へ成長

 (株)ジャパンネットワークグループは、携帯電話の販売代理店として事業を開始し、携帯電話の普及に合わせてショップ数を拡大。周辺機器やモバイル以外の通信機器にも幅広く対応し、他社との差別化を図りながら事業領域を広げてきた。

 現在は、ソフトバンクやY!mobile、auなどの店舗運営に加え、法人向け業務端末の販売、研修、デジタルマーケティング、企業DX(デジタルトランスフォーメーション)支援の5事業を展開している。

Softbank 福岡天神西通り店
Softbank 福岡天神西通り店

    2021年9月には、齊藤拓也氏が代表取締役に就任。以降、事業の多角化と組織改革を加速させ、福岡本社に加え東京にもオフィスを構えるなど拠点の整備を進めた。社員数は25年1月時点で182名、平均年齢は28歳と若い。

 元来は一般個人向けのモバイル販売を主力としていたが、近年は法人顧客への提案力を強化し、BtoB領域の比重を拡大。通信とデジタルの強みを生かしたDX支援を通じて、次なる成長の柱を築きつつある。

現場起点でDX導入を後押し
中小企業の課題に寄り添う

 齊藤氏は、「DXとは単なるシステムの導入ではなく、既存の要素と新たな技術を掛け合わせることで新たな価値を創出するプロセス」と強調する。いまだDXに対する心理的・金銭的なハードルが高く、導入に踏み切れない企業も多い。そうした現状に対して、同社はスマートフォンやタブレットなどの身近なデバイスを活用することで、実用的かつ手軽なDXの導入を提案している。

 同社が展開するDXソリューションは多岐にわたる。たとえば、社内外の連携を効率化するビジネスチャットツール「LINE WORKS」の導入支援、タイムカードの廃止やアルコールチェックの一元管理を可能にするクラウド勤怠管理アプリの提供、大容量データを安全に送信できる「GigaCC」の活用支援などがある。

 さらに、業務アプリ「kintone」を軸に、既存の各種ツールを組み合わせたシステム設計から導入・運用代行までを一貫して行っており、売って終わりではない伴走型のサービスに力を入れている。

 法人向けには、業務用スマートフォンやタブレットなどの販売、通信プランの定期的見直し、故障機器の修理対応なども提供しており、通信の専門家として培ってきた知見と技術力で、企業のITインフラ全体を支えることが可能だ。エネルギー分野にも進出しており、太陽光発電や蓄電池の導入支援にも取り組んでいる。

 同社の主要な顧客は、従業員数50名未満の中小企業である。同社はまず販売店でのスマートフォン導入を「入口」として接点をもつ。そのうえで、顧客ニーズを掘り起こし、DX支援へとつなげていく。また、店舗対応とDX担当部署との連携を強化し、顧客対応から提案・支援までを円滑につなぐ体制を整えている。

SNSでマーケティング支援
AI活用で業務効率と創造性を両立

 25年1月、同社は新たにデジタルマーケティング事業を始動させた。「九州SNS革命―九州のデジタル格差をゼロに」をミッションに掲げ、SNS運用支援、イベントの企画・制作・運営、地域インフルエンサーとのマッチングの3事業を軸に展開する。SNS運用とイベント支援についてはすでに提供が開始されており、インフルエンサーマッチングは、25年10月からの開始を予定している。

 このデジタルマーケティング分野では、生成AIの活用も進んでおり、ChatGPTをはじめとしたツールを用いて、SNS投稿の台本作成やコンテンツ運用を行っている。今後は、画像から動画を生成するAIの導入も視野に入れており、業務の効率化と表現力の両立を目指している。

 一方で、斉藤氏は「私たちの強みは人だと思っている。社内の環境をAIやアンドロイドで固めることはせず、人件費がかかっても人とともに事業を進めていきたい」と話す。人間的な対応や現場のリアリティを要する業務では人材の役割を重視している。AIによってすべてを代替するのではなく、あくまでツールとして活用することで、人とAIが共存する体制を築くことを目指している。

(株)ジャパンネットワークグループ    通信業界全体では価格競争が激しく、顧客の離脱も容易になっている。こうした厳しい市場環境のなか、同社はモバイル販売にかわる新たな「入口」を常に模索している。デジタルマーケティング分野への展開はその一環であり、今後はDX支援事業やエネルギー導入支援事業との組み合わせによる複合提案を強化する構えだ。

 AIなどの先端技術を積極的に取り入れながらも、「人の力」を核に事業を進める姿勢を貫く同社。現場に根ざしたソリューション力と、最先端のデジタル技術を掛け合わせ、次代の総合通信事業者としての進化を加速させていく構えだ。

【岩本願】


<COMPANY INFORMATION>
(株)ジャパンネットワークグループ

代 表:齊藤拓也
所在地:福岡市中央区大名2-12-8 大名町ビル10F
設 立:1996年1月
資本金:1,300万円
TEL:092-739-2160
URL:https://www.japannetworkgroup.com

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