5日、(株)ウエムラ(本社:鹿児島県薩摩川内市、桑原宏志代表)は、コーアツ工業(株)(本社:鹿児島市、出口稔代表)に対する株式公開買付け(TOB)を開始すると発表した。東京証券取引所スタンダード市場と福岡証券取引所に上場するコーアツ工業の普通株式すべて(自己株式および不応募合意株主を除く)を取得し、同社を非公開化することが目的。
買付価格は1株1,840円。買付期間は8月6日から9月18日までの30営業日で、買付予定数は159万1,188株。成立条件として、少なくとも83万3,200株(議決権ベースで3分の2取得に必要な水準)以上の応募が必要とされている。買付けの実務は大和証券が担当する。
今回のTOBに先立ち、ウエムラは鹿児島銀行や南日本開発など8社の株主と合意を交わしており、これら合意株主が保有する計35万1,264株(所有割合15.44%)は応募される予定。また、ウエムラと資本関係にある植村組やガイアテックなど4社は、保有する計68万3,148株(所有割合30.04%)について応募しないこと、およびTOB成立後に実施される株式併合等の議案に賛成することに合意している。
コーアツ工業側は同日、取締役会を開き、今回のTOBに賛同し株主に対して応募を推奨すると発表した。非公開化によって上場維持に係る費用の削減と柔軟な資本政策の実行が可能になると判断した。
ウエムラは、鹿児島県を中心に九州全域で建設業やレジャー施設運営などを行う「植村企業グループ」の戦略中枢に位置づけられるコンサルティング会社。今回のTOBは同グループの再編と経営資源の集約を意図する。公開買付けを通じて、グループ内に分散した橋梁工事やコンクリート製品関連事業の一体運営を目指すとともに、資材の共同調達や人材活用、営業活動の連携によるスケールメリットの創出を狙う。
一方、コーアツ工業の主力であるPC(プレストレスト・コンクリート)橋梁事業は、近年の受注減やゼネコンとの競争激化、人材不足の影響に直面しており、グループ連携による事業基盤の強化が求められていた。
TOB成立後は、残存株主の整理を目的とした株式併合などのスクイーズアウト手続きが予定されており、最終的にコーアツ工業の全株式をウエムラグループ内に集約する見通し。成立すれば、コーアツ工業は上場廃止となる見込みだ。
【寺村朋輝】