ダンロップタイヤ、再販売価格拘束の疑いで確約計画 価格統制のブランド戦略は岐路に
6日、公正取引委員会は(株)ダンロップタイヤ(本社:東京都江東区、河瀬二朗代表)が提出した確約計画を、独占禁止法に基づき認定したと発表した。これは同社が再販売価格拘束の疑いで審査を受けていた件に関連するもので、当該行為の排除を確保するための措置を定めたもの。
違反認定と確約計画認定までの経緯
同社は親会社である住友ゴム工業(株)が製造する「ダンロップ」ブランドの自動車用タイヤを国内市場向けに販売している。
発表によると、問題となったのは、2024年10月から販売を開始したオールシーズンタイヤ「SYNCHRO WEATHER(シンクロウェザー)」の販売に関して25年4月頃まで、小売業者に対し希望小売価格での販売を要請したとされる。具体的には、ダンロップタイヤが小売業者に対し、実質的な割引の自粛や、希望小売価格での販売、ECモールへの出品自粛を求めるなどの行為が行われていた。
公取委はこれらの行為について、独占禁止法が規定する「再販売価格の拘束」に該当する疑いがあると判断した。公取委は同社に対して7月に確約手続に係る通知を送り、それに対して同社は確約計画提出。公取委にてこれを審査した結果、計画内容が当該行為の排除を確保するのに十分かつ確実に実施されると認められたとして、今回の認定に至った。
確約計画には、再販売価格拘束と見なされる行為の中止、社内外への周知徹底、再発防止策の策定・実施、定期的な社内研修、法務監査、そして独占禁止法違反を容認しない旨の社内メッセージの発信などが盛り込まれている。また、これらの措置の実施状況は、第三者機関による監視のもとで公取委に報告されることとなっている。
価格統制に依存したブランド戦略は岐路にある
本件のようにメーカーが再販売価格の拘束を行うのは、高価格帯ブランドの価値維持や販売チャネルの秩序確保を図る意図がある。安売りが進めばブランドイメージは毀損し、小売業者の販売意欲やサービスの質も低下しかねないという見立てによるものだ。
しかし近年、公取委はこのような行為を独禁法違反にあたるとして監視を強めている。昨年には家具卸大手の関家具(本社:福岡県大川市)に対して同様の価格拘束に対して排除措置命令が出された。今回のダンロップタイヤは排除措置命令に至る前の確約手続きであるが、今後も確約手続きを通じて措置命令に至る前に是正を迫る事例が増加するものと思われる。
メーカー側はこうした状況を踏まえて、価格統制に依存した従来のブランド戦略の見直しや、販売政策を再構築することが迫られている。
▼関連記事
『関家具、高級オフィスチェアの再販売価格拘束で、公取委が排除措置命令へ 1年前にも立ち入り検査』
【寺村朋輝】