福島自然環境研究室 千葉茂樹
9月6日、磐梯連峰の赤埴山に調査に行きました。写真のとおり、ススキの穂があり、山は一足先に秋を迎えています。
途中、ツキノワグマの爪痕がブナの幹についているのを見つけました。昨年の調査では爪痕は確認できませんでした。
この付近は、もともとクマのいない区域でした。私は、1979年から調査に入っていますが、赤埴山自体にクマはあまりいませんでした。クマがいたのは、山頂部と山の左右の沢でした。
一昨年、ブナが切り倒されて植生が変わり、根曲がり竹が繁茂したので、クマが進出したようです(餌が得られるようになったため)。爪痕で縄張りを主張しています。
写真(爪痕)の場所は、調査で重要なところだったので、一昨年・昨年と多くの写真を撮影した所でもあります。
9月7日、散歩で猪苗代城跡を歩いたら、紅葉が始まっていました。実は、8月10日頃にも、いったん気温が下がった時期があり、その際にも城跡の桜の葉の一部が赤くなっていました。猛暑続きで樹木が弱っているのかもしれません。
猪苗代は標高約500mで、会津盆地などよりは気温が低いのですが、それでも今日の最高気温は30℃です。これまでなら、紅葉するような気温ではありません。なお、城址から見た磐梯山も、今日はわずかに黄色く色づき、真夏の濃い緑ではなくなっていました。
<プロフィール>
千葉茂樹(ちば・しげき)
福島自然環境研究室代表。1958年生まれ、岩手県一関市出身、福島県猪苗代町在住。専門は火山地質学。2011年の福島原発事故発生により放射性物質汚染の調査を開始。11年、原子力災害現地対策本部アドバイザー。23年、環境放射能除染学会功労賞。論文などは、京都大学名誉教授吉田英生氏のHPに掲載されている。
原発事故関係の論⽂
磐梯⼭関係の論⽂
ほか、「富士山、可視北端の福島県からの姿」など論文多数。