極東開発工業と日本トレクスに総額59億円の課徴金納付命令 実質的カルテルを認定
24日、公正取引委員会は、特装車製品の製造販売を行う極東開発工業(株)(大阪市中央区、布原達也代表)とトレーラの製造販売を行う日本トレクス(株)(愛知県豊川市、高崎文弘代表)に対して、独占禁止法に基づいて排除措置命令と課徴金納付命令を出した。課徴金の額は、極東開発工業が26億189万円、日本トレクスが33億2,364万円でいずれも2026年4月27日までに納付することも命じられた。
なお、同じく違反行為を行っていた新明和工業(株)(兵庫県宝塚市、五十川龍之代表)と東邦車輛(株)(群馬県邑楽町、富田政行代表)は、排除措置命令ならびに課徴金納付命令の対象とはならなかった。
競争を実質的に制限した
公取委の調査によると、極東開発工業と新明和工業は、両社の部長級者が月1回程度会合をもち、特装車用架装物の販売価格などについて情報交換を行っていた。そして、鋼材等原材料価格の高騰を口実に、22年4月以降の販売価格を引き上げる旨を遅くとも22年2月4日までに合意していた。さらに、23年2月7日までには、塵芥車用架装物およびテールゲートリフタについてさらなる価格引き上げを合意していたという。これらの合意を通じて、両社は競争を回避することで、特定特装車製品の販売分野における競争を実質的に制限するカルテル的合意があったと認定された。
また、日本トレクスおよび東邦車輛は、特定トレーラの各車種別納期見込みを営業戦略立案の材料とする目的で情報交換を行っており、これを足がかりに、原材料である鋼材価格の高騰を契機として、販売価格を引き上げる旨や引き上げる金額の目安について、21~22年までに3度にわたって合意したとされる。公取委はこれら一連の合意行為について、2社が共同して特定トレーラの販売価格を引き上げる旨を確定させ、競争を実質的に制限する行為を行ったと認定した。
2社は課徴金総額59億円 ほかの2社は免除
公取委は極東開発工業と日本トレクスに対して、それぞれ課徴金26億189万円と課徴金33億2,364万円の納付を命じたが、両社は立入検査後、調査に全面協力しており、課徴金減免(リーニエンシー)制度適用で30%減額された。また、新明和工業と東邦車輛の2社は同じく課徴金減免制度に基づき納付命令の対象とはなっていない。
【寺村朋輝】