2024年03月28日( 木 )

生き残りをかけた中小警備企業の攻め手とは~地場2社対談(4)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

(株)拳和警備保障 石松 剛 氏
東洋警備保障(株) 岩崎 徳男 氏

 地場警備会社は今後、どのように生き残りを図っていくか。社会不安の高まりなどから警備業に対する需要は高まっているが、業界は売上高1,000億円を超える大手2社の強さが際立つ構造となっている。この状況下で、9,000社を超える警備業者はいかに生き残っていくか。特徴ある2社に対談していただいた。

 ――大手が収益を追求するなかで、省くところ、手がけない領域が出てくる。そこにビジネスチャンスがある、ということですか。

 岩崎 そうですね。大手では、機械警備の異常発報に対応するだけで手いっぱいのようです。話に聞く限り、隊員一人で500から1,000件を受け持つ場合もあると。それだけあると、必ず同時多発的に異常発報があるでしょうから、一人では対応できない。
 弊社の場合は、持っていて一人200件。待機時間も長くなりますが、余裕がある分、いろんな対応ができます。

 ――近年の行政の動きはどうなっていますか。

(株)拳和警備保障 石松 剛 氏

 岩崎 2005年に、警備業法の大改正がありました。以前は、警備員指導教育責任者を営業所ごとに一人置いておけばよかったのですが、改正によって取り扱う警備業務の区分ごとに置かなければならなくなり、弊社も福岡支社だけで1、2、3号それぞれに専任者を置いています。これが結構大変なんですよ。

 石松 そうですね。とくに我々に大きく関わってくる部分では、受傷事故があった際に行政処分の対象になる、ということもあります。被疑者をおさえる際に相手が刃物を持っていて、隊員が刺されたというような受傷事故にあうと、行政処分の対象になる。

 ――刺された側が行政処分になる、と。

 石松 はい。しかし店舗側からすると、「何かあったときのために警備員を雇っているのに、何をしていたのか」となる。こちらも説明に困るところです。
岩崎 弊社では、被疑者の確保には向かうな、という方向付けをしています。現行犯逮捕は警備業の目的ではなく、本来我々がやるべきことではない。なので、警察が身柄を確保できるような援助をする、としています。

 ――行政の規制が厳しい。


 ――今後の展望は。
 岩崎 以前、警備車両が緊急車両認定を受ける話もあったのですが、立ち消えになりました。業務上、どうしても路上駐車しなくてはならないタイミングというのがあって、とくに都市部では駐車場を探すのも大変です。電気・ガス事業などの応急作業用車などは緊急車両となっていますし、警備業においても認定がほしいところです。

 岩崎 細かいところまで手が届くような、適切なサービスを適切に行っている点だと思います。本社のある北九州市では名前がある程度知られていますが、福岡市では新興ですので、まだまだ攻めが必要です。

 石松 万引きの手口は、チームで高額化粧品を盗むなど以前より巧妙になってきており、かごを持っていったのを追いかけるような時代ではなくなりました。また福岡市は性犯罪率が高く、万引きだけでなく、変質者などへの対応もしていく方針です。

(了)
【聞き手:鹿島 譲二/文・構成:吉井 陸人】

<COMPANY INFORMATION>
(株)拳和警備保障
代 表:石松 剛
所在地:福岡市博多区比恵町2-33
資本金:1,000万円
TEL:092-477-9534
FAX:092-477-9535

<COMPANY INFORMATION>
東洋警備保障(株)
代 表:岩崎 徳男
所在地:北九州市小倉北区今町1-1-41
資本金:1,000万円
TEL:093-591-1785
URL:http://www.toyokb.co.jp/

 

関連記事