昨年度を上回る減少速度
生コンクリートの出荷量の減少が続いている。
今年度上半期(2025年4~9月)の累計出荷量は、全国で3,051万2,095m3(前年同期比7.6%減)、九州(沖縄を含む)では426万2,609m3(同6.9%減)となった。前年同期(24年4~9月)が全国3,298万9,812m3(同6.5%減)、九州457万5,328m3(同3.8%減)であったことと比較して、今年度に入って減少率が大きくなっていることが分かった。
福岡県は民需の大きな減少局面へ
福岡県全体の出荷量(官民需要の合計)は、23年度の段階で過去最低を更新していたが、24年度はついに300万m3を割り込んで281万5,158m3となった。23年度の落ち込みは官需の大きな減少が原因だったが、同年の民需はリーマン・ショック以降のピークだった13年度の246万2,500m3に次ぐ239万3,972m3だった。しかし、24年度の落ち込みは民需の落ち込みが大きな原因で、24年度の民需は217万6,835m3で前年比9.1%減となった。民需の出荷量の過去最低はリーマン・ショック直後09年度の192万4,256m3だが、下半期の出荷量の動向によっては一気に200万m3を割って過去最低の目前に迫ることも予想される。
09年と現在とでは生コン価格に大きな開きがあり、福岡地区生コン組合では、09年当時は1m3あたり1万500円を割り込んでいたが、25年10月には2万1,500円まで引き上げられたため経営環境は同じではないが、一方で人件費を含めたコストも上昇している。
生コンの主要原料であるセメント業界は、国内の市場縮小を見込んで海外進出を強化している。しかし、その一方で、あくまでも生モノとして発注のたびに現場に届けなくてはいけない生コンはそういうわけにはいかない。
今後、さらなる出荷量の減少も予想されるなかで生コン業界がどのように方策を練るのか注目される。
【寺村朋輝】








