高市圧勝阻止で新党「中道改革連合」結成 排除の論理で党分裂の「希望の党」の失敗回避

 1月23日に衆院が解散した翌24日、高市首相を支える幹事長代行の萩生田光一・元文科大臣(東京24区)が事務所を開き、安倍元首相の写真の隣で挨拶をしたが、年末に韓国メディアが報じた旧統一教会の内部文書「TM特別報告」に何度も登場したことには一切触れなかった。「(萩生田氏は)我々と安倍首相との面談を一貫して取り持ってくれた」という記述も含まれていたのに、銃撃事件の誘因になった仲介役疑惑の釈明をしないまま、『選挙後は裏方ではなく、先頭でやらせてください』と訴えた。前回は裏金問題で無所属での出馬を余儀なくされたが、今回は自民党公認となり、完全復権への意気込みを語ったのだ。

萩生田光一氏
萩生田光一氏

    本人の高揚感が伝わってくると同時に、今回の総選挙(2月8日投開票)が「ボロ隠し解散」の意味合いをもつことも実感した。先のTM特別報告には高市首相の名前が32回も登場、解散せずに通常国会に突入すれば、「高市首相も安倍元首相と同様に旧統一教会とズブズブの関係なのか」などと野党が追及をするのは必至。だから予算案年度内成立が困難となる「個利個略解散」(野田代表)と批判されても、高支持率が下落する前の解散を決断した魂胆が透けて見えるのだ。

 これに対して野党は「大義なき解散」と強く反発。なかでも立憲民主党と公明党は急接近、あっという間に新党「中道改革連合」結成にこぎつけるサプライズで対抗した。

中道改革連合の野田佳彦(左)、斉藤鉄夫(右)両共同代表
中道改革連合の野田佳彦(左)、
斉藤鉄夫(右)両共同代表

    当初は、2017年の「希望の党」騒動(党分裂)の再来になる兆しもあった。新党構想浮上の直後から元総務大臣の原口一博衆院議員(立民佐賀一区)が新党に入らないと表明、別の新党「ゆうこく連合」立ち上げも宣言したためだ。

 しかし、小池百合子知事の排除発言(安保法制と改憲の賛成が希望の党公認の踏み絵)に反発した枝野幸男・元代表らが立憲を立ち上げた時と違って、原口氏と行動を共にする議員はほとんどいなかった。立憲の衆院議員148人(引退する2人を除く)のうち、144人が新党「中道改革連合」に加わることになった。

 「希望の党」騒動の再来とならなかったのは、安住幹事長が同じ失敗を繰り返さないと強調したことが大きいようだ。新党結成で合意した1月5日の両党トップ会談前、立憲の両院議員総会で安住氏は「数多くの個別テーマで、かつての希望の党のような排除、踏み絵を踏ませることはしない」と説明したという。

 地方組織(県連)も概ね新党結成に賛同したようだ。1月18日の県連代表との会議後、安住幹事長は次のように答えた

立民の安住幹事長
立民の安住幹事長

    ――(会議で出た)心配事の1つに比例順位のことはなかったのでしょうか。公明現職が上位だと立民の比例枠、復活枠が少なくなってしまうのではないか。そういう懸念の声は出なかったのか。

 安住幹事長(以下、安住) あまり出なかった。私たちが取っている票にそのまま来るのではなくて、もともとそれぞれ力があって当選する議席数ぐらいの党と一緒になるわけだから、そういうことは丁寧に説明して理解を求めて了解をいただいた。

 ――ほとんど立民の復活枠がなくなるのではないかと原口(一博)さんがそのへんを懸念されているが…。

 安住 それは知らない人が言っているだけで、(投票箱を)開けてみれば、それは分かるから。もともと公明党の皆さんは独自で当選するだけのそれぞれの地方の大きな力をもっているから。ただ「1足す1(=2)」ではなくて、1足す1が3にも4にもなるように努力したいと思う。

 ――原発・安全保障政策でリベラル支持層が離れてしまうのではないかという懸念もあると思うが、そのへんは大丈夫なのか。

 安住 そういう方々の心配もあるが、しかし、この右傾化の流れのなかで非核三原則を守り、(武器輸出の)五類型を広げないとか、生活者のことを目指したりということを踏まえれば、大同団結はマストだと思う。私も一歩前に出て、自分のところだけ守って高市政権を倒せるのかというと、なかなか我々単独では難しい。右に流れる風に対してやっぱり歯止めをかけるという意味では、中道勢力を前に進めるということでいえば、今まで与野党に分かれていた政党だから、それは違いはあるかもしれないが、ここは思い切って前に出て決断をしたので、ついてきてくれとお願いした。

 翌19日、新党「中道改革連合」は綱領と基本政策を発表、22日に結党大会を開いた。与野党の二大政党が激突するという総選挙の基本的な枠組みが決まった瞬間だった。高市首相の“ボロ(壺)隠し解散”が成功するのか、党分裂を避けながら新党結成にまでこぎつけた「中道改革連合」が自民圧勝を阻止するのか。2月8日投開票の総選挙の結果が注目される。

【ジャーナリスト/横田一】 

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