自民党調査の懸念点をズバリ指摘した山本代表 中道は徳俵からの反転攻勢なるか

中道改革連合の野田佳彦共同代表
中道改革連合の野田佳彦共同代表

    野田代表が2月5日、中道改革連合の長友克洋候補(神奈川14区)の応援演説を橋本駅前で行い、中道半減の世論調査に反論するかたちで次のように訴えた。

「神奈川も千葉も東京も上向きになっている。徳俵からの反転攻勢も十分可能だ。メイク・ミラクルを起こそうではありませんか」

 2月2日の朝日新聞は「自維300議席超うかがう 中道半減も」という見出しで世論調査結果を紹介。「自民党は単独で過半数(233議席)を大きく上回る勢い」である一方、「中道改革連合は公示前勢力(167議席)から半減する可能性もある」と予測した。

 今回、入手した自民党の「世論調査」(調査日1月28日~2月1日)も、自民党の獲得議席は225議席~285議席の範囲内で、中間値は257議席(小選挙区189、比例代表68)と予測。朝日新聞とほぼ同じ結果となっているが、以下の注釈も書き加えられていた。

「今回の調査で自民党の勢いは維持しているものと考えられますが、報道されているように創価学会が108の重点区を決めて、より強化した活動を展開していくことや、朝日新聞の報道による揺り戻しなど、自民党の勢いに今後マイナスの影響を与えると考えられますので、より一層の引き締めを図り、手を緩めることなく、全力をあげて取り組むことが重要かと思われます」

 要するに自民党のマイナス要因(懸念事項)は、創価学会の活動強化と朝日新聞報道による揺り戻し。前者については、5日公開の本サイト記事「ギアが入った公明票(学会票)で中道改革連合が猛追、高市自民圧勝を阻止できるか」で紹介した通り、創価学会員を含む公明支持者の活動にギアが入り、横浜市や千葉県柏市での中道の街宣が黒山の人だかりという光景が出現し始めている。

 創価学会の活動強化によって最終盤で自民党の勢いに陰りが出る可能性が出てきたともいえる。

 しかも先の自民党の世論調査を見ると、小選挙区で3ポイント以上の差をつけている選挙区を自民党勝利と仮定すると、獲得議席予測は229議席(小選挙区166、比例63)に減少し、5ポイント以上の差を条件にすると、さらに獲得議席予測は207議席(小選挙区147、比例60)にまで減少する。

 フル稼働をした公明票の影響で3~5ポイントの差しかない接戦区での勝敗が逆転、自民党獲得議席が激減する場合もあり得るということだ。

 「朝日新聞の揺り戻し」の影響も十分に考えられる。自民圧勝予測が出てきたことで、「高市自民を圧勝させるのは良くない」という有権者心理が働くというわけだ。

 自民党のマイナス要因(懸念点)をズバリ指摘し始めたのが、れいわ新選組の山本太郎代表だ。

れいわ新選組の山本太郎代表
れいわ新選組の山本太郎代表

    血液のがんの一歩手前と診断されて活動休止を宣言した山本氏だが、5日夜に池袋駅前で街宣。「高市政治を許さなえ」のプラカードが出現するなか、「自民党に300議席なんて渡すわけにいかない」「雰囲気だけの選挙に流されないで」と強調しつつ、れいわへの投票を呼びかけた。そして自民党はもちろん国民民主党や参政党への批判もしていったのだ。

 まず高市首相については「昨年12月に打ったさまざまな経済政策がどのように日本を豊かにし、そして国民を救ったのかという結果をもって、自信をもって選挙すればいいのではないか」と早期解散に疑問呈示をした。

 そして国民民主党に対しては、選挙で消費税5%減税を訴えているのに国会での関連質問回数が少ないことから「消費税減税やるやる詐欺だ」と一刀両断。続いて消費税廃止を訴える参政党に対しても「(消費税廃止の財源は)40兆円の医療費を半分にすればできると代表が言っている。命が失われるようなことやってどうするのだ」と糾弾したのだ。

 その一方で、食料品消費税ゼロを目玉政策に掲げる中道改革連合を批判することはなかった。

 「遺言やと思って聞いて」とまで口にしながら高市圧勝(300議席)阻止を呼び掛けた山本代表の訴えは、最終盤情勢を変える可能性を秘めている。高市圧勝を報じた「朝日新聞の揺り戻し」を一気に加速させる「戦略的投票行動の呼びかけ」にも聞こえるからだ。

 れいわへの投票を呼びかけながら中道批判を控えた山本代表の狙いを勝手に読み解くと、「れいわの候補がいない小選挙区では中道候補に投票、自民候補を落選させることで高市圧勝を阻止しよう」ということではないか。

 思い出したのが、安倍政権の一強多弱時代の2015年1月投開票の佐賀県知事選。自民支援の樋渡啓祐・元武雄市長が山口祥義知事にまさかの敗北を喫し、安倍首相(当時)が激怒したときのことだ。

 山口知事は樋渡氏にダブルスコアの大差をつけられていたが、反樋渡派が結集して追い上げ、共産支援の三番手候補(島谷幸宏・九大教授)の票の一部が山口氏に流れて奇跡の逆転勝利をした。島谷氏支援の前滋賀県知事の嘉田由紀子参院議員はこう振り返った。

「『樋渡知事誕生を避けたいと思って山口さんに投票した』という島谷支援者の電話が相次いだ」

 これこそが有権者による戦略的投票行動だ。最悪の候補勝利を避けるために次善の候補者に投票先を変える有権者が少なからずいたということだ。

 れいわだけではなく共産や社民や国民民主の支持者が「中道は今1つ支持できないが、自民よりましだから小選挙区では中道に入れる」という戦略的投票行動を取れば、世論調査とは違う結果となった佐賀県知事選の再来となる可能性は十分ある。自民党が懸念していた「朝日新聞(報道)の揺り戻し」が起きるというわけだ。

 山本代表の訴えがどこまで有権者に届き、中道の反転攻勢、つまり高市圧勝阻止につながるのか。投開票結果が注目される。

【ジャーナリスト/横田一】

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