トリビュートの不動産再生(15)開発できる土地がない?

開発用地の供給「まだまだできる」

トリビュートの不動産再生    福岡市中心部では、ホテルやオフィスビル、マンションの開発が相次いでいる。デベロッパーに限らず、不動産業者からは「開発できる土地がない」という声も聞かれるようになってきた。

 こうした福岡市内の開発用地の供給事情について、不動産再生を手がける(株)トリビュート(福岡市中央区)の田中稔眞社長は、「用地確保の難易度は確実に上がっています」と前置きしつつ、「用地供給はまだまだできると見ています」と話す。同社が得意とするのは、福岡市中心部のホテル用地ないし賃貸マンション用地の供給だ。

 これまでも紹介してきた通り、天神・博多とその周辺エリア、たとえば天神エリアなら「清川」「春吉」「高砂」、博多エリアなら「須崎町」「神屋町」「対馬小路」「大博町」「築港本町」といったアドレスには、低利用の土地が多く残されており、主に小型ホテル用地や賃貸マンション用地として活発に売買が行われている。

 トリビュートは今年2月、清川で40坪超の土地を取得した。隣地の買い増しも進めており、最終的には80坪程度の開発用地を確保できる見込みで、その後は賃貸マンション用地として売却する計画だ。「こういった天神・博多周辺エリアは、高容積であることからホテル向けを中心に開発用地の取得競争が激化していますが、このところ注目しているのが、吉塚アドレスです」と田中社長は語る。

評価見直し進む吉塚アドレス

JR吉塚駅
JR吉塚駅

    地下鉄・千代県庁口駅、馬出九大病院前駅、箱崎宮前駅、JR吉塚駅、箱崎駅といった鉄道駅が充実している吉塚・箱崎エリアも近年、不動産開発が相次いでいる。これらのエリアでは、賃貸マンションに加え、分譲マンションや小型ホテルなど多様な開発が行われており、そこから波及するかたちで、東側に位置する吉塚アドレスの評価も見直しが進んでいるようだ。

 トリビュートは、2024年にも吉塚アドレスの開発用地をマンションデベロッパーへ供給した実績があるが、現在(2月中旬時点)でも開発用地の仕込みを進めているところだという。「吉塚はJRで博多駅まで1駅、距離的にも博多はもちろん天神にも近く、高速道路など自動車での移動も便利なエリアです。指定容積率は多くが200%ということもあり、比較的地価は抑えられているのが特徴です。準工業地域も多いことから広めの敷地を確保しやすく、デベロッパーの視点に立てば、『分譲・賃貸問わず、ボリュームゾーン向けのマンション開発が現実的なエリア』といえます」と田中社長は分析する。

規制緩和への期待も旧耐震マンション

近藤ビル(大楠2丁目)
近藤ビル(大楠2丁目)

    一方、天神エリアからはわずかに外れるが、同社は1月下旬に西鉄・平尾駅から徒歩11分、日赤通り沿いの賃貸マンション・近藤ビルを取得した。「幹線道路沿いで敷地の拡大も図れることから、資産価値は高いと判断しました。建物は築年数が経過しており、老朽化も目立っていることから、更地化を計画しています」(田中社長)という。2月中旬時点ですでに入居者との立退き交渉は完了しており、今後は周辺の土地を含めて権利調整を進めていく。同地の用途地域は近隣商業地域で、容積率300%、建ぺい率80%で、分譲マンションもしくは賃貸マンション用地として商品化を計画している。

旧耐震マンションイメージ
旧耐震マンションイメージ

    こうした立退きなど権利調整が必要な物件に加えて、同社では築年数が経過した分譲マンションの取得も積極的に進めている。「立地の良さが最低条件ですが、旧耐震の分譲マンションは積極的に買い進めています。規制緩和により、今後は分譲マンションでも建替えや敷地売却といった選択肢が取りやすくなるでしょう。長期的な視点は必要ですが、一等地であればインカムも期待できますし、建替えや敷地売却を通じて、街の新陳代謝に地権者として関与することにもつながります」と田中社長は展望を語る。

【永上隼人】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:田中稔眞
所在地:福岡市中央区渡辺通1-1-1 サンセルコビル6F
設 立:2009年4月
資本金:1,600万円
TEL:092-292-2313
FAX:092-292-2314

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