NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
今回は、3月27日付の記事を紹介する。
トランプ大統領はイランへの攻撃を仕掛けておきながら、「イランから大きなプレゼントが約束された」と意味不明の発言を繰り出している。
当初は、「数日で決着をつける」と息巻いていたが、思うようにはいかず、アメリカ国内からも「大義なき戦争だ」「一刻も早く和平へ舵を切るべきだ」といった声が大きくなってきた。このままでは11月の中間選挙ではトランプ氏の率いる共和党は大敗北を喫する可能性が出てきている。
実際、アジアではブレント原油が1バレル150ドルを突破し、米国のWTI原油は戦略石油備蓄(SPR)の放出を受けて97ドルと高止まりしている一方、オマーン原油は167ドルに達するなど、地域間の価格格差が露呈。JPモルガンなどの金融機関は、原油価格が1バレル130ドル以上に高騰する可能性を長らく警告してきたが、そのシナリオをはるかに突破する「オイルショック」が生まれつつある。
ホルムズ海峡の支配権は、特にアジアにとって壊滅的な混乱を引き起こすリスクがあり、成長のけん引役が期待されている中国やインドのインフレと景気減速を悪化させるだろう。日本でもアジア諸国でもガソリン価格は依然として高値ではあるものの、戦略石油備蓄の放出によって価格上昇は抑えられつつある。
この危機は、中東における緊張の高まり、特にイランが世界の石油輸送にとって重要なチョークポイントであるホルムズ海峡を兵器化すると脅迫することで、危機が長続きする可能性も出ている。
イランが海峡の完全封鎖を強行したり、一部の国に限って航行を認めるなどした場合には、湾岸産原油に大きく依存するアジアにとって、壊滅的な結果を招く可能性があることには十分備えておく必要があるだろう。
トランプ政権は、イスラエルのネタニヤフ首相と連携し、緊急時対応計画について協議したと報じられているが、直接的な軍事介入はより広範な紛争を引き起こすリスクがあることも忘れてはならない。
一方、イランの瀬戸際外交は地域情勢の不安定さを利用し、西側諸国の決意を試すとともに、アジアのエネルギー依存経済への締め付けを強めている。アメリカとイスラエルからの攻撃を受け、最高指導者が相次いで暗殺されているにもかかわらず、イランはロシアや中国、そして北朝鮮からの支援を得ながら体制を維持しているではないか。イスラエルが想定したようなイラン内部からの政権転覆の動きは見られない。イランはアメリカやイスラエルが想像した以上に強い結束力や抵抗力を誇っているようだ。
一方、原油価格高騰の予期せぬ結果の一つとして、アジア全域で電気自動車(EV)需要が急増している点は注目に値する。中国の自動車メーカーBYDモーターズは、フィリピンの販売店においてわずか2週間で1か月分の受注を達成したとのこと。また、ベトナムのVinFastはショールームへの来店者数が4倍に増加したと報告しており、タイとニュージーランドではEV販売台数が20%以上増加している模様だ。
この動きは、グローバリストが推進する「グリーン移行」のシナリオと合致しているようにも見えるが、懐疑的な見方をする人々は、EVブームが本当に自然発生的なものなのか、それとも人々を中央集権型のエネルギー網とテクノロジーに支配されたインフラへの依存へと追い込む、人為的に仕組まれたものではないかと評価が錯綜している。
確かに原油価格の高騰はEVの普及を加速させるかもしれないが、同時にリチウムイオン電池、レアアース、そして化石燃料をコントロールする企業への一層の依存を深めることにもなるだろう。
残念ながら、ソニーとホンダが米国での共同開発と販売を目指してきたEVは「絵に描いた餅」に終わってしまった。開拓者精神はどこに行ったのだろうか?言うまでもなく、世界は未曾有の混乱期に突入しており、傍観するだけでは救われない。今こそ、危機をチャンスに変える発想で新規ビジネスに目を向ける時と思われる。
その点、日本には世界が求め、期待する「水の浄化」「健康長寿をもたらす発酵食品」「レアアース泥やメタンハイドレート開発」など多くの技術的蓄積がある。EVに関しても、米国市場ではなくアジア市場に活路を見いだすチャンスにすべきではなかろうか。
著者:浜田和幸
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