自民党に家賃の消費税非課税を認めさせた全管協(4)

 これまで当社では、全管協名誉会長・高橋誠一氏が、自民党ちんたい支部連合会会長、全国賃貸住宅経営者政治連盟会長として、与党自民党と近い関係にあることや、全管協の会員企業やその代表者が、自民党の党員勧誘活動に際して本来党員となる個人が支払うべき党費を負担している実態について、政治資金規正法上の寄付行為にあたる可能性があること、そして、全管協名誉会長として政府与党幹部と面会した際、自身が経営する企業が販売権を有するごみ処理プラントの営業活動を行ったことなどを報じてきた。

 6月15日発売の『週刊ポスト』(小学館)2026年6月26日・7月3日合併号が「茂木外相が総裁選ですがった『自民党員水増し団体』」とのタイトルで、2024年の自民党総裁選に際して、現在、高市政権の外務大臣を務める茂木敏充氏が、全管協名誉会長でその職域支部である自民党ちんたい支部連合会の会長を務める高橋誠一氏に、東京都内のある高級飲食店で、総裁選で全管協がもつ自民党員票の一部を自身に投票してくれるよう依頼していたことや、当社が報じてきた自民党員の組織的な獲得に関する問題を3ページにわたって報じている。

全管協の特別顧問に菅元首相のブレーン・和泉元補佐官を起用

 7月の報道各社の世論調査では高市政権の支持率が軒並み下落した。読売新聞の調査では12ポイント、日本経済新聞では10ポイント低下。朝日や産経などでも7ポイントから3ポイント下落した。25日に国会は閉会したが、27日午前には衆議院予算委員会で、高市早苗首相と関係閣僚が出席して集中審議が行われた。

 集中審議で高市首相は、各メディアの世論調査で内閣支持率が軒並み大幅に低下した原因を問われたが「原因に関しては分からない」と答弁した。あまり答えたくない質問ではあるだろう。

 自民党内で内閣改造・党役員人事が焦点となっており、政局の動向に注目が集まっている。そうしたなかで、以前の記事でもお伝えした帝国ホテルに事務所を構えるなどの菅義偉元首相の動きが、今後を見据えたものであることは間違いない。

 菅元首相のブレーンは安倍・菅政権で首相補佐官を務めた和泉洋人氏である。帝国ホテルに事務所を置くことになった際の交渉役も和泉氏だったといわれる。高市首相の支持率が下がっていけば、当然、次の総裁候補は誰かという話になる。菅氏の政敵・麻生太郎自民党副総裁は茂木敏充外務大臣を次期総裁候補に考えているという。菅氏は、同じ神奈川の小泉進次郎防衛大臣を次期総裁・首相にと考えており、国会近くの帝国ホテルに拠点を構えたとみられる。

 その和泉氏は、国土交通省の官僚時代から不動産業界と密接な関係を築いてきた。全管協とも浅からぬ関係にあるが、当社は、複数の全管協関係者から、和泉氏が23年1月から全管協の特別顧問に就任したことや、組織内の反対意見を高橋誠一氏が抑えたとの証言を得た。

 業界団体が政府や中央省庁に強いパイプを築くため元官僚を顧問に据えることは珍しいことではないが、反対意見が出たのは、月々支払う顧問料の額が月額100万円であるためである。現在も和泉氏は、全管協の特別顧問であり、23年4月から現在まで4,000万円近く支払われている計算になる。

 和泉氏を年間1,200万円もの顧問料を支払ってまで起用したのは、中央官庁とのパイプだけでなく、賃貸住宅の消費税非課税維持もあるだろう。

25年全管協シンポジウム講師も菅氏のブレーン

 全管協が和泉氏や菅氏との関係が強いことは、昨年6月に東京・パレスホテルで開催された「全管協総会・シンポジウム2025」の記念講演の講師を、菅政権で内閣官房参与であった経済学者・高橋洋一氏が務めたことからもうかがわれる。高橋氏は消費減税を主張し、財務省が増税を正当化するために「社会保障の財源不足」を理由に使うのは世界の非常識であると批判している。デフレ脱却のために大胆な金融緩和(インフレターゲット)を行うべきだとする「リフレ派」の代表的な論客として知られる。一方で、高橋氏は小泉構造改革を主導した竹中平蔵氏とも近い。高橋・竹中両氏は、菅氏と近いことで知られるが、財務大臣を務めた麻生太郎氏とは政策的に合わない。

「全管協総会・シンポジウム2025」のチラシ
「全管協総会・シンポジウム2025」のチラシ

 どのような講師を団体のセミナーや講演会に呼ぶのかは、団体トップの意向もあるが、政策的な考え方も反映される。

 消費減税を求める声は多いが、自民党内は財政規律を重視する政治家が多い。そのこともあり飲食料品の消費税率ゼロは、高市首相の公約だったにもかかわらず実現のハードルが高い。その一方で賃貸住宅の家賃への消費税を非課税とすることが認められてきたのは、全管協をはじめとする業界団体の働きかけによるもので、現在に至るまで既得権化してきた背景には、自民党政権の権力者との強い結びつきがあったことは間違いない。

【近藤将勝】

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