2024年04月19日( 金 )

中国でアピールすべきキーワードは『健康』

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(株)アダル 代表取締役会長 武野 重美

社員の意識改革で国内外へ市場拡大

(株)アダル 武野 重美 代表取締役会長<

(株)アダル 武野 重美 代表取締役会長

 2013年に創業60周年を迎えた業務用家具メーカー(株)アダル。現在、次の10年に向けて人材の育成、とくに『意識改革』に注力し、社内体制を整えている。その成果は、これまでの設計事務所や内装業者といった顧客から、旅館・ホテル、医療・介護業界に加えて、冠婚葬祭といった業種にも『アダルブランド』が浸透していることからもうかがい知れる。とくに医療・介護業界への超高齢化社会を見据えた営業活動の展開は、まさに「既存顧客を追う」といったこれまでの意識を刷新できたからこその動きだ。

 同社の強みは、その人材教育だけに留まらない。失われた20年と呼ばれるデフレ経済真っ只中にあって、同社は海外に目を向けいち早く行動を起こした。中国・台湾といったアジア市場への挑戦だ。今でこそ『チャイナリスク』といった呼称で中国独自の商慣習や、中国人の我の強い気質などの情報は広く共有されているが、同社が市場開拓に出向いた頃は、手探りでそれらの違いに向き合っていかなければならなかった。そんな難しい状況のなか、それでも同社は中国における足場固めに成功する。同社代表取締役会長の武野重美氏は、中国という国柄、人柄を次のように語る。

 「中国はやはり政府の力が強いので、公権力の決めたことは絶対という徹底した力関係があるのは間違いありません。中国の人はというと、商売に対して非常に厳しい。ただ同時に、情に厚くもあります。結婚式ともなれば、親族含め200人以上が出席されます。お葬式も同じです。ですから、一度身内として和のなかに入っていければ、それは非常に頼もしく感じられます」(武野会長)。中国市場での成功には、人と人との関係性を築き上げることが要となるようだ。

日本に中国の購買力を取り込むには

 逆に、中国市場の勢いを日本国内に取り込んでいくためには、どうすればいいのか――。自身、毎月上海へと足を運ぶ武野会長にうかがった。「上海の街を歩いていて、いつも思うのが『ネット』の影響力の強さです。『いい加減にしなさいよ』と言いたくなるぐらい、全員がいつもネットを見ています。ですから、日本の企業が中国の顧客を取り込もうと思ったら、ネットの活用が一番確実だと思います。また、キーワードとして『健康』を掲げるのもいいと思います。中国は現在PM2.5や光化学スモッグ、黄砂等での健康被害増加を受けて、健康に対する意識が高まっています。この2点を上手く結びつけることができれば、必ず日本へ継続的に買い物に来てくれるはずです」(武野会長)。

 ネットと健康。単純に日本製の高品質な食料や飲料をアピールするのもいいが、武野会長はもう1つアイディアを教えてくれた。「たとえば、農業において、農薬を使わずにいかにして農作物をつくるのか。この方法を土壌づくりから収穫までを収めた動画広告としてネットで流し、ノウハウを売るというのもおもしろいでしょう」(武野会長)。
 完成品を売るのではなく、その品物をつくるための方法を提供する。世界が知的財産権を守る方向に動くなか、あえて中国市場にそれを商品として販売する。メイド・イン・ジャパンのノウハウともなれば、それは間違いなく重宝されるはずだ。

 今や世界を舞台に、働く場の快適化に貢献する同社。HP内のカタログを見れば、そのモダンなつくりと機能性を兼ね備えた家具の多彩さに、驚かされるだろう。その種類の多さは、同社が国内外の視点を取り入れていることの証明でもある。未来を築き上げる『空間のプロ』を目指す同社は、すでにその目標に達しているといっても過言ではない。

※記事内容は2015年8月31日時点のもの

<COMPANY INFORMATION>
(株)アダル
代 表:武野 龍
所在地:福岡市博多区金の隈3-13-2
設 立:1968年4月
資本金:1億8,225万円
TEL:092-504-3932
URL:http://www.adal.co.jp

<プロフィール>
takeno_pr武野 重美(たけの しげみ)
1939年、宮崎県生まれ。59年に福岡のイスヤ商会に就職後、先代の死によって代表取締役に就任。91年に(株)アダルへ社名変更し、業務用家具業界で知られるようになる。95年、中国に合弁会社を設立。世界を舞台にアダルブランドの発展に努めている。

 

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