2024年04月30日( 火 )

【クローズアップ】データリンク倒産の波紋 フタバユナイテッドを検証

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(株)フタバユナイテッド

 主力仕入先の与信力を利用した悪質な仕入で被害を拡大させ破綻した(株)データリンク。同社と一時所在地を同じくし、役員の人的交流もある(株)フタバユナイテッドの代表に、2023年10月、データリンク元代表の長男が就任し経営を引き継いでいる。元代表への批判が冷めやらぬ債権者らは、フタバユナイテッドに厳しい目を向ける。フタバユナイテッドの現状を検証する。

異様な資金繰りで仕入先へリスク転嫁

 (株)データリンクはOA機器や事務用品などオフィス用品全般を通販サイト「e-SUPPLY」を通じて販売していた。会員数は約8万5,000社、2014年3月期には約27億円の売上高を計上していた。

 データリンクの倒産は異様さが際立っていた。銀行からの借入金がまったくなかったことだ。破綻理由はコロナ禍で在宅勤務・リモートワークが増加し、オフィス用品の需要が減少したことをあげているが、20年3月期には6,194万円の営業赤字を計上しすでに6億7,961万円の債務超過に陥っていた。22年および23年3月期には粗利段階から赤字となり債務超過額は12億2,589万円まで増加。一方、売上高は22年期の21億9,722万円から増収を続け、23年3月期には37億8,553万円まで上伸させた。

 裁判資料によると、売上高を上げるために採算度外視で、仕入れた在庫を仕入れ値より安い価格で販売しながら運転資金をひねり出す経営を行っていたことが判明している。

 借入金がない状況で、データリンクの21年3月期の買掛債務6億3,053万円が23年3月期には14億51万円まで膨れ上がった。一方で、売掛債権はほぼ変わっていない。では現金売りが増えたかというと、21年3月期の現預金1,071万円から23年3月期には1億2,346万円まで増えただけで間尺に合わない。

 その結果、仕入先にリスクを負わせるかたちとなった。この破産事件で最大の債権者となった(株)カンサイホールディングス(以下、カンサイHD)の債権額は12億4,200万円。カンサイHDへの各年3月期末の買掛残高は、21年はゼロだったが、22年は6億5,935万円とカンサイHDへの依存度が急速に高まり、23年9月の破産時には12億円超まで膨れ上がっていた。取引を急拡大させ直後に破綻するやり方は取り込み詐欺の手法と同じだ。

 金融機関から借入をしなかったことを考えると、返済期限や利子がかかる銀行借入をするより、仕入先への買掛金で賄った方が利益面および気分的にも楽である。その結果、仕入先への依存度および仕入先の負担やリスクが高まり、信頼を裏切るかたちとなった。

両社の密接な関係

 データリンク元代表・川島幸雄氏の長男である川島剛氏が代表を務める(株)フタバユナイテッドは、08年3月にウェブサイト制作などを目的に設立された。設立以降、剛氏に代表が変わるまで篠﨑加奈子氏が代表取締役を務め、川島幸雄氏も設立時から18年3月31日に退任するまで取締役として名を連ねていた。

 篠﨑氏と幸雄氏はシャープシステムプロダクト㈱の元同僚で、1990年5月、元同僚4名で㈲データリンクを設立、代表には篠﨑氏、幸雄氏は取締役にそれぞれ就任した。翌91年12月に篠﨑氏は代表取締役を辞任、その後、2名の代表交代を経て、96年9月に幸雄氏が代表取締役に就任している。

 97年9月、(株)データリンクに組織変更。代表は幸雄氏、3名の取締役のなかに篠﨑氏も入っていた。2001年4月、篠﨑氏は取締役を辞任した後、08年3月にデータリンクと同住所にてフタバユナイテッドを設立。代表は篠﨑氏、幸雄氏は取締役に就任した。その後、データリンクは2度移転しており、フタバユナイテッドも一緒に移転している。これらのことから、幸雄氏と篠﨑氏、データリンクとフタバユナイテッドの密接な関係がうかがえる。

求められる透明性

 川島剛氏は23年7月ごろ、父の幸雄氏から「会社がうまくまわらなくなった。手を貸してほしい」と言われ、それまで勤めていた会社を退社し、データリンクに入社した。

 その後、同9月中旬、幸雄氏は同月の支払いが不可能となったことからデータリンクを倒産させることを決意。同26日、データリンクおよび代表の幸雄氏ともに福岡地裁へ破産手続きの開始を申請し、同10月10日、同地裁より破産手続開始決定を受けた。その間、剛氏は経理担当者と債務整理に従事していた。

 剛氏がフタバユナイテッドの代表になったのは、23年10月15日。同時に会社所在地も移転している。代表就任の経緯は、自身が幼いころからお世話になっていた篠﨑氏から、引き継いで経営してほしいと言われたからだという。篠﨑氏はデータリンクが倒産し、フタバユナイテッドも同体と思われると考え、同社も閉じようとも考えたらしいが、剛氏に会社を頼めるのならばと託したという。

 たしかに、データリンクおよびフタバユナイテッドの成り立ち、それぞれの役員構成などをみると同体と考えられるのも無理な話ではない。

 現在、フタバユナイテッドはウェブサイト制作およびコンサルタント、通販のギフトショップbonbongarden(ボンボンガーデン)の運営を手がけている。剛氏は、「データリンクが行っていた文具、オフィス用品は取り扱っていないし、今後も取り扱うことはない」と話す。また、株式保有については剛氏50%、自社株50%となっている。剛氏は父である幸雄氏とは無関係を強調するが、それを証明するためにも透明度を高め、相応の実績をつくることが求められる。

【内山 義之】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:川島 剛
所在地:福岡市西区小戸4-29-31
設 立:2008年3月
資本金:100万円
売上高:(24/3)約500万円

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