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2016年05月31日 07:04

会長・社長のクビを切ったセコム創業者の飯田亮最高顧問(後)~「パナマ文書」に登場する大激震が誘発したのか?

「パナマ文書」で暴かれた創業者の課税逃れ

 4月4日、セコムに衝撃が走った。各メディアがタックスヘイブン(租税回避地)の実態を暴露した「パナマ文書」に載っている著名人の名前を報じた。セコムの創業家の名前も登場する。『セコム創業者ら、株700億円管理』と題する東京新聞(4月4日付)が、そのスキームを図解入りで詳しく報じた。引用する。

 〈ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)が入手した内部文書(パナマ文書=筆者注)の分析からは、警備大手セコムの創業者や親族につながる複数の法人が一九九〇年代に租税回避地につくられ、当時の取引価格で計七百億円を超す大量のセコム株が管理されていることが分かった。創業者は取締役最高顧問の飯田亮氏(83)と元取締役最高顧問の故戸田寿一氏。
 (中略)文書によると、法人が設立された租税回避地は英領バージン諸島、ガーンジーで、飯田氏や故戸田氏は法人を使い大量のセコム株を間接的に管理する仕組みを構築。これに伴い両氏が直接保有するセコム株は大幅に減少した。

 さらに株の一部は、両氏の親族につながる租税回避地の法人が、それぞれ管理する形にした。法人間の取引は贈与にならない〉

持ち株比率は大幅に低下

off_fukei セコムの広報部は取材に〈税務当局には詳細な情報開示を行なっており、適正な税金を納めている。課税を免れるためのものではない〉と書面で回答したという。

 しかし、説得力に欠ける。適正に情報開示をして納税をしているのであれば、わざわざタックスヘイブンに複数の法人をつくり、創業者の親族に移転して管理する仕組みは必要がないからだ。

 パナマ文書によって、飯田氏の課税逃れのスキームが暴かれた。この仕組みで親族への相続税や贈与税のかなりが圧縮できる。700億円億円の相続税や贈与税の課税逃れ大作戦であったことが明らかだ。

 現在、飯田氏亮氏の持ち株比率は1.8%、戸田寿一氏の遺産を相続した戸田成郎氏のそれは2.3%にとどまる。資産隠しに成功したわけだ。

 飯田氏はかねてから、現在の税制には疑問をもっていたようで、1996年には『行政改革を語る。「今の税金の使い方では納税したくなくます」』という論文を書いているほど。「納税したくない」飯田氏は、タックスヘイブンに複数の法人をつくって、課税逃れを実践したのだろう。だが、創業者の「パナマ文書」問題が、「安心・安全」を売るセキュリティ会社にダーティーイメージを植え付けたことは間違いない。

 「パナマ文書への対応について、飯田氏と前田氏の間に亀裂が生じた」という観測が出ている。だが、関係者はいずれも沈黙を貫いており、2トップの解任と「パナマ文書」の関係は藪の中である。

飯田氏の娘婿が取締役に昇格

 セコムは5月11日、前田会長・伊藤社長の解職と同時に、6月24日開催の取締役候補者10人を発表した。取締役は大幅に入れ替わった。取締役最高顧問の飯田亮氏、代表取締役社長の中山泰男氏は続投するが、社内取締役3人、社外取締役2人は新任だ。

 注目されたのが、飯田氏の娘婿の尾関一郎氏(55)が取締役になることだ。後継を見据えた飯田氏の意向かとメディアに問われた中山新社長は「全く関係ない。実績を上げており、仕事も人間性も優れている。人物本位で選ばれた」と答えている。しかし、額面通り受け取る向きはいない。

 尾関一郎氏は東京都出身。学習院大学経済卒。飯田氏の後輩にあたる。1983年(株)住友銀行(現・(株)三井住友銀行)に入行。2001年セコム損害保険(株)に入社。04年常務、08年常務と昇進を重ね、10年に社長に就いた。4月1日からのセコムの執行役員体制では、序列18位の執行役員だったが、6月の株主総会で序列5位の取締役に大抜擢される。本体の中枢に入るため、セコム損害保険は社長から会長に就く。

 飯田氏は、小泉純一郎内閣による政府の規制緩和や官業の民間開放の政策決定に関わった人物としてつとに有名だ。

 飯田氏は、保険業法の自由化を受け、98年に東洋火災海上保険(株)に出資。01年にセコム損害保険に商号変更して傘下に組入れた。その時、入社したのが尾関氏だ。

 08年夏の北海道洞爺湖サミットのメイン会場となったザ・ウイザーホテルは、セコム損害保険の関連の不動産会社が買収したものだ。

 サミット会場の開催につながったのは、飯田氏の人脈に負うことが大きかった。サミット会場を決定したのは、第1次安倍晋三内閣の時。サミットの開催された時には、安倍氏は退陣していたため、福田康夫首相が議長を務めた。

 こうした政権との密接な関係をテコに、医療、保険分野に事業の多角化を進めてきたのが飯田氏だった。今回の人事で、見えてくるものは、飯田氏が事業の後継者として、娘婿の尾関一郎氏にしたことを明確にしたことだろう。中山氏をつなぎとして、尾関一郎氏がセコムのトップに就く日は近い。

(了)
【森村 和男】

 
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