2024年04月20日( 土 )

八幡西区役所跡地開発で地域活性化目指す(2)

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(株)サンキュードラッグ 代表取締役社長兼CEO 平野 健二 氏
大英産業(株) 代表取締役社長 大園 信 氏

医食住+雇用を完結させたい

 ――地域との関わりを熟慮されていることに感銘を受けたということですね。

 大園 私たちも、もともとはサンキュードラッグさんの店舗をつくることで協力できないかと考えていたのですが、考え方が変わりました。私たちはマンションを建てて売るということをずっとやってきましたが、売ることが終わりではないことに改めて気が付いたのです。お客さまはマンションを購入してから、新しい生活が始まるわけですから。新しい生活を通じて長い付き合いというのが必要だということは考えてきたのですが、何をすればよいのかが今一つ見えていませんでしたが、平野社長の講演内容をうかがって、はっきり見えたように感じました。

sankyu_daiei 悪い言葉ですが、マンション開発は手離れがいいと言われます。そうではなくて、私たちはこれからいかにお客さまに寄り添っていけるか、という点が非常に重要になると考えています。とはいえ、私たちはお住まいをおすすめするのは得意ですが、それから後の暮らし、生活という分野はあまり得意ではありません。最近、マンションの購入者層ではシニアの方の比重が大きくなってきています。郊外の戸建を売って、私たちのマンションに来ていただくケースが増えてきているのです。このお客さまは今まで私たちが扱ってきたファミリーのお客さまとは別の悩みがありました。健康的な問題などを抱えていらっしゃって利便性の高い地域に住み直すというものです。

 そこで、高齢のお客さまにとって必要なものをリサーチしてみたところ、病院が非常に高い重要性を占める結果を得ました。開発業者として入口づくりが得意なデベロッパーと、生活が得意なサンキュードラッグさんとがタッグを組めば、住まう方々の満足が得られるのではないかと考えたのです。その部分が北九州市からも評価されて今回の決定に至ったと思います。ファミリー向けが196戸、シニア向けが45戸というかたちでの提案を行いました。そこにクリニックやドラッグストアをつくる、平野社長の言う「医食住」がまかなえるプロジェクトとすることができました。

 平野 医食住に加えて仕事まで完結できることが理想です。これは私の夢でもあります。正規雇用の重要性が叫ばれるようになってきています。確かに正規雇用は大事ですが、一方で主婦の方、高齢の方のように週に5日、フルタイムでは働けないという方も多くいらっしゃることも事実です。そのような方に仕事を提供するのは私たちのような近隣型のビジネスにおいては非常に大切なことだと考えています。

 実は八幡東区の店では65歳以上の方を10人ほど雇用し、早朝の陳列の仕事をしていただいています。商品は夜中のうちに届き、10時の開店に間に合わせるとなると朝の6時くらいから陳列作業が始まります。6時からの2、3時間という時間帯は主婦の方にとって最も忙しい時間です。

 ところが高齢の方は起きているんですよね。5時間も働くと体に負担がかかりすぎてしまいますが、2、3時間なら大丈夫という方が多くいらっしゃいます。そういう方たちと一緒に仕事をさせていただくのは、とても良いことだと思います。とくに店の若い従業員たちにはわからない、たとえば「腰が痛くなるってこういうことよ」とか「老眼ってこういうことよ」などを教えていただけるわけです。だから、そういった雇用の面まで発展していけたらと思います。

(つづく)
【司会・編集/柳 茂嘉】

<プロフィール>
oozono大園 信(おおぞの・まこと)
大英産業(株)代表取締役社長。1949年、大分県宇佐市生まれ。専修大学商学部卒業。73年に常務取締役就任、77年に副社長就任を経て2001年に代表取締役社長に就任。住まいのニーズを満たすことを通じて地域の人々とともに成長していける企業を目指す。趣味はゴルフ。

<プロフィール>
hirano平野 健二(ひらの・けんじ)
(株)サンキュードラッグ代表取締役社長。1959年、北九州市門司区生まれ。一橋大学商学部経営学科卒業後、サンフランシスコ州立大学経営大学院でMBAを取得し、大手製薬メーカーに就職。86年にサンキュードラッグに入社、2003年に代表取締役社長に就任。趣味はゴルフ。

 
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