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2016年09月08日 14:16

次世代への責任をいったい誰が果たすのか!(1)

元国務大臣・内閣府特命担当大臣・衆議院議員 村上 誠一郎 氏

 自民党は今、参議院選挙の勝利に酔いしれている。しかし、その自民党は、さらに永田町は、10年ほど前から明らかに劣化し始めている。そして、2012年12月26日の第2次安倍内閣が誕生して、かつての自民党の姿はすっかり消えた。議論を許さない雰囲気が党内に広がり、議論をする気のない議員が増えた。果たして、自民党は将来的に国民の負託に応え、次世代への責任を果たすことができるのであろうか――。近刊『自民党ひとり良識派』(講談社現代新書)で自民党の危機に警鐘を鳴らす、元国務大臣・内閣府特命担当大臣・衆議院議員の村上誠一郎氏に聞いた。村上氏は村上水軍18代目当主で、その村上家の家訓は、「国家の大事には親兄弟の屍を乗り越えて戦え!」である。

(取材日:7月14日)

今の自民党の強引な手法では本当の政治不信が起こる

 ――本日は「日本のあるべき姿」について、いろいろとお聞きしたいと思います。その前に、まずは近々の日本の政治・経済について俯瞰していただけますか。

元国務大臣・内閣府特命担当大臣・衆議院議員 村上 誠一郎 氏<

元国務大臣・内閣府特命担当大臣・衆議院議員 村上 誠一郎 氏

 村上誠一郎氏(以下、村上) 最近、自民党、さらには永田町には、日本の直面する問題に対する理解力のある議員がとても少なくなりました。このままでいくと、将来的に優秀な人材を永田町や霞が関に確保することができるのかどうかを心配しています。なぜ、このようなことを申し上げるのかと言いますと、自民党、そして永田町には「今、日本国にとって、何が一番優先すべき問題なのか」を真剣に議論する議員がほとんどいなくなりつつあるからです。このような本質的な議論を避けて、「選挙対策」など、その場限りの対応で政策が決定されています。
 最近、私が一番激怒したのは、選挙対策だけで「消費税率10%への再増税を2年半延期」したことです。今後の見通しもないまま消費増税を先送りすれば、社会保障財源に穴が開き、財政健全化が遅れることは明らかです。これから生まれてくる子どもは、生まれた時点で借金まみれになってしまいます。かつての自民党税調のドン・山中貞則氏は「税は理論」と言い、時の政府のどんな圧力にも屈しませんでした。しかし、安倍首相は昨年、軽減税率の反対など正論を唱えた野田毅党税調会長を罷免しました。

 私は大蔵政務次官、衆議院大蔵常任委員長、初代財務副大臣を歴任しました。その経験から言わせていただければ、野田毅前税調会長の考えは正しかったと思います。今後、どうやって財政規律を保っていくのか。このままでは、国の財政が本当に吹っ飛んでしまいます。
 かつての自民党には、経済のスペシャリスト、税金の専門家、法律のプロがいて、日本国の将来のために、レベルの高い議論が繰り広げられていました。今の自民党には、族議員と言われた専門家がいなくなりました。EU盟主であるドイツには今借金がありません。それは東ドイツを統合しながら、与党も野党も協力して消費税を20%くらいに引き上げたからです。対照的に、現在の日本は1,000兆円以上の借金があります。国家の運営にはお金がかかります。政治家は逃げず、次世代への責任を果たすためにも、財政規律を保つことがいかに重要であるかを、国民にきちんと伝えなければなりません。

 先の参議院選挙で、自民党は勝利しました。しかし、それは自民党の政策が素晴らしいからではありません。民主党政権の3年3カ月があまりにもお粗末だったために、野党が見放されてしまっただけで、自民党に対する積極的な支持ではありません。私が最も心配しているのは、自民党も現政権のようなポピュリズムや強引な手法を続けていると、本当の政治不信が起こるということです。
 民主主義はとてもデリケートで、いつでも崩壊する危機を孕んでいます。ファシズムは、いつの時代でも起こる可能性があります。今の自民党の財政・金融政策を続けていると、日本丸は大きな滝壺に向かってしまうと感じるのは、私だけではないと思います。

 永田町の議員は、昔と比べとても劣化しています。昔は総務会の議員は当選5~6回以上で、政治行政全体を理解している人々がほとんどでした。残念ながら、今は論点を理解していない人もおり、また問題点がわかっていても、党幹部に直言する勇気のある人が減りつつあります。

(つづく)
【金木 亮憲】

<プロフィール>
murakami_pr村上 誠一郎(むらかみ・せいいちろう)
自由民主党衆議院議員。1952年生まれ。東京教育大学付属高を経て、78年東京大学法学部卒業。河本敏夫衆議院議員秘書を経て、86年旧愛媛2区より2度目の出馬で衆議院議員に初当選。以来、愛媛2区で、自民党一筋で10期連続当選。2001年、第2次森喜朗改造内閣で初代財務副大臣に就任。第2次小泉改造内閣で、国務大臣(行政改革・地域再生・構造改革特区担当)・内閣府特命担当大臣(規制改革・産業再生機構担当)として初入閣。2015年の安全保障関連法案採決の本会議を欠席、福島第一原発事故の原因究明なきままの原発再稼働に反対するなど、リベラル保守の立場から政権に正論を唱えている。前衆議院政治倫理審査会会長。現在、自由民主党総務、税制調査会副会長、海運・造船対策特別委員会委員長、四国ブロック両院議員会会長。

 
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