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2016年09月30日 11:25

改装によって心機一転、より良質な演劇を市民に提供(前) 福岡の未来を創る101社 

(株)博多座

興行演目の吟味と自主制作で業績を改善

funanorikomi (株)博多座は、1999年に福岡市が建設費312億円をかけて開設した。歌舞伎、ミュージカル、宝塚、芝居など、あらゆる舞台の公演が可能な常打ち劇場だ。建設の構想自体は89年、下川端東地区再開発の気運高まるなか、本格的な歌舞伎演劇などの常設劇場の復活を望む声に支えられ、興行界、地元財界および当時の桑原福岡市長の合意によって始まった。運営は、九州の経済界と我が国を代表する興行会社の協同出資による。経営難に陥ったこともあったが、2011年、演劇受給会社から演劇興行供給会社へと転身するために大胆な経営改革を行い、黒字計上劇場としての自信を得て現在に至る。

 改めてその復活の軌跡をたどってみると、まずは収益が確保できるような演目についてよく吟味し選定した。とくに堂本光一主演の「Endless SHOCK」で、若きジャニーズファンという今までの顧客層とは異なる世代を客層として確保できたことが、大きな強みとなった。同演目は今や博多座の人気演目として定期的に興行され、遠方からも観客を惹きつけている。

 また、興行供給という新たな経営戦略を展開すべく開始した、博多座独自の自主制作企画もすっかり定着した。自主制作は、制作費を自社で調整することさえできれば、他劇場の作品を買い取るよりコストを抑えることができる。しかも、他劇場に売ることもできる。近年の実績で言えば、博多座開場15周年企画として14年4月に興行された「武田鉄矢・前川清特別公演」があった。

積極的に打って出る姿勢が社内にも浸透

 客の多様なニーズに対応し、定番の歌舞伎、ミュージカル、宝塚、芝居やジャニーズなど、年間で各ジャンルのバランスが取れた演劇を企画する博多座では、年間に安定した収益が見込める興行を複数確保し、その間に自主制作や今まで興行したことのない新たな企画を入れる、というスタイルが、ここ数年続いている。演劇受給会社から、演劇興行供給会社へという言葉には、受け身ではなく積極的に外に打って出よう、という姿勢が感じられるが、これについてはますます勢いを増している。自社で運営できる自主制作企画の記者会見では、地場の結婚式場や野球場など、演目のテーマや雰囲気にあった演出を施して実施。また他社からの企画であっても、役者の協力を得て、県外で実施するよう運ぶ機会もあった。積極性は社員たちにも広がり、劇場に興味を持ってもらうためのイベント「劇場に行こう!」を社員で立案。劇場が使われない貴重な隙間期間を利用して、不定期ではあるが着々と実施しているのも印象的だ。

 このような積極的な社内の雰囲気は、「演劇をつくってみなければ演劇制作コストがわからないし、コストがわからなければ価格の交渉力が弱くなる」として、自主制作を試みることを思い立った芦塚日出美社長の姿勢に端を発する。演目の相場が客観的に計れないのならば、主観的に計れるようになるために、実際につくってみる、というのは、未知の世界の内側に積極的に飛び込んで、今まで慣れ親しんでいた常識の外に打って出ようとするようなものだ。結果的には、これが博多座の新しい2本柱のひとつ、自主企画制作を創ることになり、やがて博多座を牽引する一戦力となって組織全体の士気を上げた。

(つづく)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:芦塚 日出美
所在地:福岡市博多区下川端町2-1
設 立:1996年7月
資本金:11億2,500万円
TEL:092-263-5874
URL:http://www.hakataza.co.jp

<プロフィール>
asiduka芦塚 日出美
1939年長崎県生まれ。九州電力(株)副社長、九州通信ネットワーク(株)社長から2010年6月、(株)博多座4代目社長に就任。福岡商工会議所の情報・文化・サービス部会の部会長などを兼務。

 
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