2024年05月06日( 月 )

表面化した詐欺被害は氷山の一角(3)~留置場から届いた詐欺師の手紙

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 詐欺被害を告白した読者から、連絡が入った。前触れもなく、読者宛に一通の手紙が届いたとの知らせだった。差出人はなんと、詐欺師市瀬本人。留置場から届いた手紙には、お詫びとともに自己弁護の内容。受け取った被害者は困惑するとともに、呆れるほかなかった。

letter 手紙が書かれたのは、今年10月末。被害者に届いたのは、11月に入ってからだった。手紙の送り主を見た瞬間、A氏は驚きを隠せなかった。なぜなら、差出人が詐欺師本人だったからである。「いまさら何を言いたいのか」――封を切り、便箋3枚に渡る文章を読むにつれ、加害者に対する怒りと呆れで一杯となった。

 手紙の内容を要約すると、こうだ。

「事件については、裁判中により一切話ができない。この件で、大変迷惑をかけた。申し訳ない。しかし、私も信用していた人間に裏切られて、今ここ(留置所)にいる。迷惑をかけた分については、弁償したい。」

 そして文中には「返金したいので、(A氏の)口座番号を知らせてほしい」との一文が存在し、警察署内留置場の住所も記載されていた。

 金も持たないだろう本人がどうやって返金するのか、困惑したA氏は周囲に相談した。筆者もこの状況を聞き、知人弁護士に相談した。弁護士は「おそらく、被害弁償して刑を軽くするという以外の理由はないでしょう。」との見解を示している。今後、一切の関わりを持ちたくないA氏は、留置場に返信することはなかった。

(了)
【東城 洋平】

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