2024年04月20日( 土 )

ホールディングス制導入で多角経営を推進 分業化を進め、さらなる企業成長へ(前)

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小久保製氷冷蔵グループ

 “世界の氷 コクボのロックアイス®”で全国的に有名な小久保製氷冷蔵グループ。近年、和洋菓子の製造販売にも力を入れる同グループは、関連事業者とのM&Aを推進し、事業領域を拡大している。さらなる企業成長を目指すため、従来の事業運営と将来へのさらなる企業成長を考えるところを明確に分ける目的で16年5月、新たにホールディングス会社を立ち上げた。そのトップに小久保製氷冷蔵(株)の代表取締役副社長と(株)九州コクボ社長を兼任する小久保龍平氏が就任。新体制の下、同グループの今後の展開についてうかがった。

HD体制で組織力も強化 役割を明確に

20170213_008 小久保製氷冷蔵グループは16年5月、コア・コクボ ホールディングス(株)(以下コア・コクボHD)を設立した。従来の親会社であった小久保製氷冷蔵(株)が事業会社のトップ企業として、コア・コクボHDの傘下に入った。コア・コクボHD社長には小久保製氷冷蔵(株)副社長の小久保龍平氏が就任。グループの若き3代目が名実共にグループのトップに就くこととなった。
 近年、主要取引先である大手コンビニのカフェが空前の大ブームを呼んでいるなかで、アイスコーヒー用の氷入りカップを製造している同社は急成長。「カフェノミクス」と呼ばれる好景気に乗り、売上、社員数が拡大している。
 急成長の過程で手綱を緩めることなく、将来を見据えた人財雇用と教育、そしてM&Aによる事業規模の拡大といった取り組みを行ってきた。「ホールディングス制導入はさらなる企業成長に向けてのもの。今日、明日のことを考えるのは事業会社、5年後、10年後を見据えた取り組みをホールディングスが担う」(小久保龍平社長)。2つの立場と役割を明確にすることで、効率よく企業成長を進めていきたい狙いがある。
 グループはもともと、氷の製造販売で有名になった企業だ。今から約40年前、アメリカでは主流となっていた袋詰めの氷を販売。“氷は家庭で作るもの”という考え方が主流ななか、先代の社長らが小売店を1軒1軒売って回った。「こんなもん買うやつはどこにいるんだ?」と冷やかしの言葉を投げかけられ続けたが、とあるコンビニだけが取り扱ってくれた。そのコンビニの成長と共にグループも成長。コンビニカフェにグループの氷が採用されたことで知名度はさらに高まった。発売から40年後、水を買う時代は当たり前となり、美味しい氷を求める時代となった。 先代の社長らに先見の明があったといっても過言ではない。
 また、16年4月にはグループ総帥の小久保歓氏の悲願だった水ビジネスにも着手。グループである九州コクボでは、鹿児島県霧島市の日当山(ひなたやま)温泉郷の温泉水を使用した「プラシリカ」を販売している。プラシリカはミネラル成分を多く含み、アンチエイジングや美容、健康にも効果があると評判の温泉水だ。飽和状態である水ビジネスの世界に同社のこれまでの経験などを生かして参入し、発売当初から話題となっている。緻密なマーケティング戦略の下、事業領域の拡大の手綱を緩めることはない。

(つづく)

【矢野 寛之】

<COMPANY INFORMATION>

コア・コクボ ホールディングス(株)
所在地:東京都江東区東陽4-1-7 佐藤ダイヤビル4F

小久保製氷冷蔵(株)
所在地:千葉県八千代市村上1739-4
TEL:047-484-1169

(株)九州コクボ
所在地:大分県日田市三ノ宮町2-1798
TEL:0973-24-9069

ほか、グループ会社14社

 
(後)

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