2024年03月29日( 金 )

人類の未来を左右するか?ロボット革命と延命ビジネス

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、3月3日付の記事を紹介する。


 人間の生命や寿命という観点からも、新たな動きが顕在化している。世界に先駆け、超高齢化社会に突入する日本。健康長寿は誰もが望むところである。そんな中、日本人研究者が主導する「サーチュイン遺伝子」が世界的な注目を集めるようになった。なぜなら「サーチュイン」は、細菌からヒトに至るまで、ほぼすべての生物の中に宿っており、栄養の変化や環境が及ぼす刺激に対応し、生物の生存を保証するパワーを秘めているからだ。
 こうした背景には、「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」と呼ばれる人間をはじめ全ての生き物の体内に存在している天然のタンパク質が人体の老化防止や寿命の制御に重要な役割を担っている可能性が徐々に明らかになってきたことが影響している。
 実は、この分野での研究をリードしているのは日本人である。米国ワシントン大学の今井眞一郎教授らによる研究グループが、サーチュイン遺伝子について様々な実験を繰り返し、この遺伝子を活性化させることにより、人間の長寿命化が可能になるとの見通しを明らかにしたからである。

 その結果、世界中の人々がその実用化に期待を寄せるようになった。いずれにせよ、新たな生物学上の発見が病理学的にも注目され、肥満や糖尿病の新しい創薬として実用化が期待されているのである。国民の7割近くが糖尿病というアラブ産油国では、特に需要が高まると思われる。当然、各国の医薬品メーカーや医療機関がこぞって関心を寄せているようだ。
 今井教授によれば、「通常、あらゆる生物の細胞にNMNは含まれているのだが、加齢とともに減っていく傾向にある」とのこと。そこで、こうした細胞内のタンパク質の1種であるNMNを増やすことができれば、衰えた細胞が元の若々しい臓器の再生に繋がると仮定されている。さらにはアルツハイマー病についても、早い段階からこのNMNを取り入れていれば、病気の発症も抑えられるという。
 それでなくとも、「先進国の寿命は1日5時間のペースで伸びている」といわれるほどだ。サーチュイン遺伝子を味方につければ、2045年には平均寿命は100歳を超えるどころか、若返りも可能になるに違いない。その可能性は日々、現実化しつつある。

 2014年12月、科学史上最大と呼ばれる寿命延長のためのバイオテクノロジー会議がアメリカで開催された。ハーバード大学をはじめ、世界の名だたる延命、生命科学の専門家が一堂に会し、かつてないほど創造的な研究成果が相次いで発表された。
 たとえば、マウスを使った実験であるが、人間に例えれば60歳の高齢者を20歳の青年に若返らせる研究の成果も発表された。これこそがNMNの力である。何しろ、糖尿病のマウスを使った実験で、肥満状態にあるマウスにNMNを一週間飲ませた結果、血糖値が大幅に低下した。糖尿病も改善し、老化した膵臓の機能も蘇ったと報告されている。夢のような話だが、「60歳を過ぎた女性が20代に若返り、出産も可能になる」という。

※続きは3月3日のメルマガ版「世界最新トレンドとビジネスチャンス」第56回「人類の未来を左右するか?ロボット革命と延命ビジネス(後編)」で。

「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」


著者:浜田和幸
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