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2017年03月24日 15:54

従来の会計業界の殻を破り、中小企業の「経営」を守る(前)

 税理士、弁護士、社労士、司法書士、行政書士等々数多くの士業の垣根を越えて、フォーラムやさまざまなセミナーを手掛ける楠本グループ。忘れかけている日本人としての誇りを取り戻し、経営に活かすことで企業の存続を呼び掛ける。揺れ動く日本経済のなかで、「士業の本来の役目とは一体何か」。従来の会計事務所の仕事にとらわれず、M&A・組織再編・アジア進出・公益法人を活用した経営支援業務などを手掛ける(株)楠本浩総合会計事務所の代表取締役社長・白川正芳氏に話を聞いた。

(聞き手:弊社執行役員 緒方 克美)

「日本的経営の創造と開放」の意図するところとは?

 ――今年2月に開催された「第6回 グローバル・経営者フォーラムin九州」も大盛況でした。御社がこのフォーラムで一貫したテーマとして掲げている「日本的経営の創造と開放」とは、どういうものでしょうか。

 白川正芳代表取締役(以下、白川) 正直に言えば、私も常に「日本的経営」とはどうあるべきかを思考し、周囲のメンバーと対話を重ね、そのあり様を模索している途中です。ある意味フォーラムはその答えを皆で考え続け、創造する「場」であり、参加された方が各自で掴み取るものであり、決まった答えや行動があるわけではないと考えています。ただし、事業の永続性(ゴーイングコンサーン)は重要なテーマとしており、会社を儲けるだけの道具にしてしまうのではなく、後世に伝え残して行くために会社を育てる。つまり、「人が育つ場」にしていくという点においてはぶれておりません。

(株)楠本浩総合会計事務所 白川 正芳 代表取締役社長

 「日本的経営」について尋ねられた時、私は良く日本の歴史から、3つ例をお話しします。まず初めに、縄文人です。非常に高い価値観を持っていた縄文人は、目先の利益、自分の豊かさを優先するのではなく、5千年後の子孫のために日本の国土を森につくり変えました。縄文人は非常に長いスパンで物事を考え、後世のために生活を営んだのです。生活の営みというのは、「経営」に繋がります。そういう祖先の血が我々日本人には流れているのです。

 2つ目の例は聖徳太子です。聖徳太子は憲法十七条で「和をもって貴しとなす」と唱えましたが、その背景には仏教伝来があります。日本古来の神道に仏教が入り込んで来たとき、この事実を争うことなく受け容れて、より高い文化を創り上げました。他国の歴史を見ると国教と異なる宗教が入り込もうとすると、必ず戦争が起きています。日本ではそうならなかったのです。これは自然と戦うのではなく、調和・共生していくという素直な文化性から、受け容れるという土壌があったからだと思います。

 3つ目の例は仁徳天皇です。臣民の暮らしが厳しいときに税収を止め、自身も質素な暮らしをしました。日本はそういう人物が統治してきた国です。日本にはこうした例がたくさんあります。

 目先の損得に囚われず、関係性で思考し、他者の考えを受け容れ、より新しい価値を創造していく。誤解してほしくないのが、これは「妥協」でも「迎合」でもないことです。全体を豊かにし、結果として自らも豊かさを手に入れているのです。自らの豊かさを追求した結果、修復できないほどの格差を生み、環境を破壊してきた近代とは、全く異なる「真の豊かさ」の追求なのです。現在の「金融資本主義」、「株主資本主義」が直面している壁を打ち破るヒントがこの日本古来の在り方に隠されています。「日本的経営」のあり方をフォーラムを通して、日本から世界に発信していくような流れを実現していきたいのです。

 ――「グローバル・経営者フォーラムin九州」では、オープニング映像で東日本大震災における「米軍の兵士の言葉」を流されていましたね。

 白川 世界中の人が東日本大震災の被災者の様子を賞賛しました。それはその姿に次世代の可能性を感じたからではないでしょうか。それは私達日本人も同じでした。

震災が起きた時、支援物資を運んだ米兵たちは驚きました。他国の被災地で見る、被災者たちが押し寄せ、物資の奪い合いとなる光景はそこには全く無く、一列に整列した被災者たちが自らバケツリレーで、隅々まで物資を行き渡らせる姿を目の当たりにしたからです。また、その場の被災者の方々は全ての物資を貰いきるわけではなく、他の避難所に届けてほしいと伝えていました。自分の利益だけを求めるのではなく、利他の精神を持つ日本の心。東日本大震災は、薄れつつある日本の心を呼び覚まし、日本人がもう一度尊厳を取り戻す契機にもなりました。そのうえで「我々は具体的に何を行なっていくべきか?」と思考し、解決することこそ使命だと考えています。

 ――「グローバル・経営者フォーラムin九州」の目的とは、日本が本来持っている価値観を思い出し、経営に活かしていくということでしょうか。

 白川 そうですね。また、経営者の方々の価値観を高める「場」を作りたいという思いもあります。
弊社グループの理念は、「有機体システム思考(統合の思想・高い価値観)」の確信です。「統合」とは、「統一」や「融合」とは全く異なります。「統一」は、1つの考え方、価値観が絶対的に正しいという前提で、全員がそれに合わせるという形で、それぞれの異なる「個性」が消されてしまい、個性が活かされずに新たな価値は創造できません。「融合」はそれぞれ個性の異なるAとBの関係性から、これまでにない新たなCを創造するという点において統合と似ていますが、A、Bそれぞれの個性はCとなった時点で消えてしまいます。「統合」では、AとBの個性をより際立たせ、Cという、より高いレベルの価値を創造するのです。

 現在は価値観について学習する機会が非常に少なくなっています。努力だけでは人間として成長はできません。努力により手に入るのは能力や技術であり、その事で表面的課題を効率的にこなすという成果はできますが、それだけでは本質的な人の成長による新たな価値に繋がりません。

 成長とは自己の価値観の問題に気付いていくということです。成長し価値観が高くなることで、それまで1つの側面からしか見えていなかったものが、全体と部分との関係性で物事を捉えることができるようになります。私は弊社グループ代表の楠本とのご縁で、楠本が尊敬してやまない竹内日祥上人から高い価値観についてすべて教えていただき、現在も楠本をはじめ、社員とともに「経営人間学講座」を受講しています。弊社のフォーラムやセミナーでは、単にハウツウや知識の蓄積だけではなく、高い価値観を通して、物事の本質をとらえていただくためのきっかけとなる出逢いの場にしていきたいと考えています。

(つづく)
【文・構成:中尾 眞幸】

<COMPANY INFORMATION>
代表取締社長:白川正芳
所在地:福岡市中央区天神3丁目1−1
設 立:1989年3月
資本金:2,000万円
TEL:092-724-0110
URL:http://www.ksgroup.jp/

<プロフィール>
白川 正芳(しらかわ・まさよし)
1974年8月生まれ。1998年(株)楠本統合戦略マネージメント入社。(株)楠本浩総合会計事務所へ転籍後、楠本税理士事務所へ7年間出向。社内内部役員として顧客の支持を集め、2009年に(株)楠本浩総合会計事務所代表取締役社長に就任。一般財団法人日本相続学会所属。(一財)M&Aで日本を再編成する会理事。

 

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