『人生の継ぎ栄える者になる』次世代へ紡ぐ松原氏の経営哲学|シーエススチール
<COMPANY INFORMATION>
シーエススチール(株)
取締役相談役:松原照明
代 表:松原庸仁
所在地:福岡県糟屋郡須惠町大字植木157-2
設 立:1992年4月
資本金:2,500万円
TEL:092-935-9950
URL:https://www.cs-steel.com
シーエススチール(株)の創業者・松原照明氏が新著を上梓した。事業継承を機に執筆された本書で松原氏は、半生を支えた人々への感謝と回顧録を中心として、語っている。自らを「優秀な生徒じゃなかった」と振り返る松原氏が、「今の自分はうまくいっていない」と感じる読者に向けて贈るメッセージとは?
【目次】
- 建築用鋼材の販売と加工を手がける創業者の歩み
著書三部作の背景と評価を通じて松原氏の経営観の形成過程が明らかになる。 - 継ぎ栄える思いを込め 次世代へ紡ぐ経営の眼目
事業承継の実像と、人々への感謝から生まれた「継ぎ栄える者」の思想を語る。 - サブテーマ「共尊共育」
互いを尊重し育て合う理念が若い世代への教育と地域社会への貢献に結びつく。 - PROFILE
松原照明氏の経歴と著作活動、企業理念形成の源泉をまとめる。
建築用鋼材の販売と加工を手がけるシーエススチール(株)の創業者で、昨年、代表取締役を退任して取締役相談役となった松原照明氏が11月に3冊目の著書『人生の継ぎ栄える者になる』を上梓した。
松原氏はこれまでも自身の経営哲学を綴った著書を2冊出版している。12年前の1作目『浸透する経営理念:理念成文化3次元(ASSY)プログラム』は、福岡大学経済学部教授で2023年に亡くなった阿比留正弘氏から、「守破離」の精神のうち元の土台を大事にする「守」に通じる内容として高く評価され、同大の講座「ベンチャー企業論」で6年間教科書に採用された。続いて、60歳の節目に出版した2冊目『伝え導く経営:Conduct[コンダクト]』においても、経営者としての経験に基づいた経営哲学を示してきた。
継ぎ栄える思いを込め
次世代へ紡ぐ経営の眼目
そして今回出版される3冊目『人生の継ぎ栄える者になる』は、いわば「経営三部作」の完結編にあたる。松原氏は当初、既刊2冊の続編を執筆するつもりはなかった。だが、JR九州の元会長である唐池恒二氏に「三部作で安定するのだから、書いたほうが良い」と勧められたことがきっかけで、本書を書き進める決意を固めた。構想の段階では事業承継を主題に据えるつもりだったが、執筆を進めるにつれて、これまで関わってきた人々への感謝を伝える回顧録へと自然に展開していったという。
背景には、これまで進めてきた事業承継の歩みがある。松原氏は長男への引き継ぎを5年計画で進めており、すでに半分を終えて折り返し地点に差しかかっている。その過程で改めて思い至ったのが、「自分は経営者になるつもりも、本を書くつもりもなかった。今あるのは、支えてくれた多くの人々のおかげだ」という原点だった。この気づきが、本書を回顧録のようなものへと導いた大きな動機となった。
本書のタイトルテーマは、福岡大学の阿比留教授が学生に長年語り続けてきた「人生の経営者になる」というテーマに由来する。松原氏は1作目『浸透する経営理念』が教科書に採用されたことをきっかけに教授と出会い、その教えに深く共鳴した。
松原氏は「経営」という漢字を「経は継ぎ、営は栄える」と捉えており、その視点を阿比留教授の「守」を大切にする精神に重ね合わせる。こうして「人生の経営者」は、「人生の継ぎ栄える者」へと発展し、本書のタイトルに反映された。これまでの歩みと次世代へのメッセージ、縁ある人々への感謝の集大成となっている。
サブテーマ「共尊共育」
本書で「経営三部作」を締めくくるにあたり、松原氏が込めたもう1つの大きなメッセージが、本書のサブテーマである「共尊共育」だ。文字どおり「共に尊び、共に育む」という意味をもち、「人々が互いに尊重し合い、ともに成長する地域社会をつくりたい」という願いが込められている。松原氏の哲学の根底にある、人との縁への感謝は、単なる理念にとどまらず、次世代や若者に「継ぎ、栄える」ための指針を伝える姿勢へとつながっている。
1作目『浸透する経営理念』が福岡大学で教科書に採用されたことを機に、阿比留教授の「守」を大切にする精神を受け継いだ松原氏は、学生たちが集まる「ブレークスルー」と呼ばれる研究会で指導を続け阿比留教授の精神を伝え続けている。この研究会では、福岡大学のベンチャー企業論と同じ手法を用い、学生たちが企業の問題解決のために研究に励んでいる。今でも卒業生が会社を訪ねてくることがあるという。こうした学生たちについて松原氏は「研究・問題解決に没頭する姿がすばらしい」と賞賛する。このような松原氏と次世代との関わりは、本書のテーマである「継ぎ、栄える」哲学の広がりを物語っている。
一方で松原氏は自身の大学時代について「優秀な生徒ではなかった。むしろ落第生だった」と振り返る。だからこそ本書は、特別な成功者だけに向けたものではない。これから起業を志す人、あるいは「今はうまくいっていない」と感じている人にこそ手に取ってほしいと考えている。読者が本書を通じて「松原さんもそうだったのか」と共感し、人生を「継ぎ、栄える」力を見出すことを松原氏は願っている。
<PROFILE>
松原照明(まつばら・てるあき)
1957年福岡市博多区生まれ。80年、近畿大学工学部建築科を卒業後、毎日鋼板(株)勤務を経て92年にシーエススチール(有)を設立。現在はシーエススチール(株)の取締役相談役を務める。これまでの著書に『浸透する経営理念:理念成文化3次元(ASSY)プログラム』(梓書院、2013)『伝え導く経営:Conduct[コンダクト]』(梓書院、2017)がある。3作目の『人生の継ぎ栄える者になる』(梓書院)は、11月下旬発刊予定。








