2024年05月17日( 金 )

九州ブランドに熱い視線、海外で売れるポイントとは?~(株)モナドブランディング

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 高品質で安全性も高い「メイド・イン・ジャパン」は、海外における市場の評価が高いというのが通説だが、世界における九州ブランドの評価はどうなのか。日本国内における九州の「食」の評価は高いが、世界における「九州(Kyushu)」の知名度は、東京、大阪、京都に遅れをとっている。今後、九州ブランドが海外市場でヒットするために必要なものとは何か―。東南アジアでの福岡・九州の農産物の販路拡大を手がける(株)モナドブランディングを取材した。

形が悪くても大きければ◎!

海外のバイヤーと交渉を行う横木代表(左)

 2016年10月に設立された(株)モナドブランディングは、福岡県産の苺の有名ブランド「あまおう」をはじめ、九州産の農産物の海外進出をサポートしている。同社代表取締役の横木僚太氏は、福岡県産品のブランディング事業を手伝うなかで、事業展開に必要な人脈を広げるとともに、農業者が抱える課題を知った。また、マレーシアの第2の都市ジョホールバルで、飲食業を手伝うなか、日本との嗜好の違いを肌で知った」という。
 後継者問題をともなう高齢化や人手不足の問題。農家の人が海外への輸入販売を考えたとしても、そのために準備を行う余裕はない。そこで同社では、海外への販路開拓、パッケージデザインなど各種ブランディングだけではなく、必要であれば、農業法人・農業組合の設立や、貴重な労働力となるミャンマーなどからの外国人研修生の手配なども行う。「農家の人には、おいしい農作物の生産に専念していただきたい」(横木代表)。

東南アジアで喜ばれる大きい「あまおう」

 日本人には馴染みがない多宗教文化という要素も含めて、価値観の違いという“大きな壁”がある。「海外市場では、国内と同じ売り方では、決して上手くいかない」(横木代表)。1つの例を言えば、国内市場は形にこだわり、形の悪い果物や野菜が出荷されないこともあるが、東南アジア(シンガポール、タイ、マレーシアなど)の市場では、形よりも大きさを重視。形が崩れた「あまおう」でも、サイズが大きければ、よく売れるという。
 売り方にも工夫が必要だ。東南アジアの人々にとって、地元ではとれない貴重な苺は、もはや高級デザート。そこで1個売りや3個売りでパッケージを工夫したところ、これがヒット。昨年12月、シンガポールの総合リゾートホテル「マリーナベイ・サンズ」を会場とした展示会では、交渉を行った現地法人12社のうち、成約2社、見積要求6社、改善要望3社、未回答1社という良い結果を残した。「自分が手がけた農作物に対する想いを十分に理解したうえで、納得していただける海外での売り方を考えていきます」と、横木代表。生産者と市場の調整役となり、ブランディングを通して課題を解決していくことが同社の基本方針だ。

海外の名店から得た信用

川崎町の「味噌漬け豆腐のオリーブオイル漬け」

 3月31日、シンガポール料理のレストラン「シンガポール・シーフード・リパブリック福岡天神店」が福岡市中央区大名1丁目にオープンした。日本では、銀座、品川、大阪・梅田に続き、4店舗目。英国ガイド紙の最優秀レストラン賞を12年連続した実力店だ。日本の店舗では、現地の食材を活かしたシンガポール料理にこだわり、同社を通じて、佐賀県武雄市で生産されるパクチーを仕入れているという。海外市場が満足のいく九州ブランドの農産物を売ってきた実績が、名店の信用につながっていると言えるだろう。
 次に仕かけるのは、情報誌「ブルータス」のご当地物産品のお取り寄せ企画でグランプリに輝いた、福岡県川崎町の「味噌漬け豆腐のオリーブオイル漬け」だ。日本アイドルシーンを牽引する大物プロデューサーが絶賛した味に、国内、海外問わず、大ヒットの予感があるという。「アジアの玄関口である福岡市から、九州ブランドを世界へ広めていきたい」と、横木代表の笑顔は明るい。

【山下 康太】

COMPANY INFORMATION
(株)モナドブランディング
代 表:横木 僚太
所在地:福岡市南区高宮5-9-1-302
TEL:092-791-9963
FAX:092-791-9963
URL:http://monad.co.jp/

 

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