2024年05月09日( 木 )

九州古代史を思う~「倭奴国」から「日本国」へ(12)

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「都督府」と「大宰府政庁」(3)

 昔々、天から神様が地上に降りてきて、矛を挿して本州を作り、九州を作ったという、天地創造の世界。
 鏡・玉・剣の三種の神器はどこに実態があるのでしょうか。「信仰」は、すべてが虚像だよといえばそうかも知れないけれど、ご神体は謎に包まれており、それが神々しいと教え込まれてきました。しかし、その一方で、日本にはなぜ仏寺と神社が存在するのかと考えたことはありませんか。

 「倭国」には仏教が中国から伝来し、大仏像・釈迦如来などの彫り物を信仰の対象物とし、お寺を建立する文化が発展していきました。
 その後、倭国を併合し滅亡させた「日本国」は神話伝説で神様を創造。倭国の文化を、ある物は解体移築、ある物は船を使って移送、書籍は焼却。いかに日本国が昔から1つの国、固有の文化で続いてきたかのような歴史を作り上げました。

 宗像の沖ノ島を「海の正倉院」として騒いでいますが、確かに海神として、海の守り神さまとしての信仰の存在を否定しませんが、世界遺産に匹敵するものというのはいかがなものかと思います。宮地嶽神社の後方にある古墳をご存じでしょうか。こちらの方が興味ある気がします。

 ここで、韓国の歴史について少し述べさせていただきます。
韓国の「百済伝」に、朝鮮半島の南部は古代より倭国の属国だった事が明記されています。曰く、新羅・百済は倭人で朝鮮族とは異なるとあります。韓国の古代地図には、高句麗・新羅・百済、それに伽耶の記載があります。

 古代韓国では仏教が盛んでしたが、李朝廷時代は儒教を取り入れ、寺院廃止令を出しました。これにより、寺院は廃止か山のなかへ追いやられ、本尊なども散り散りになりました。
 現在、対馬の寺院で生じている仏像の問題は、このようなときに安置を頼まれた物でしょう。作られた場所は韓国でしょうが、決して海賊をして強奪した物ではないと考えます。

 日本が天皇制度を憲法で定めている以上、古代の歴史を捏造したのは仕方がないことですが、せめて北部九州地方に、「倭国」として一代を築いていた国があり、古代国家として中国と国交を結び、日本国の基盤を築きあげた文化が存在したことを全日本国民に認識させる教育を望むのは無理なことでしょうか。
 真実の歴史認識が世のなかに広まることを切に希望するものです。

 ご拝読いただきまして、ありがとうございました。

(了)

【古代九州史家 黒木 善弘】

 
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