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2017年05月08日 13:33

英米仏韓の投票結果の違いをもたらしている主因 植草一秀氏ブログ「知られざる真実」 

 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、イギリス、アメリカ、フランス、韓国の4国で実施される重要な選挙や国民投票について、それぞれの選挙の図式について解説し、グローバリズムの進行に対して世界各地で巻き起こっている反抗の動きについて言及した、5月6日付の記事を紹介する。


 昨年6月の英国国民投票、11月の米国大統領選、そして、この5月7日の仏大統領選、5月9日の韓国大統領選と、重要な選挙や国民投票が実施されてきた。フランスの大統領選では中道でEUを肯定するマクロン氏が、韓国大統領選では米国主導の韓国統治に異を唱える文在寅(ムン・ジェイン)氏が、最終局面まで優勢を維持している。
 1980年代以降、世界を席捲してきた新自由主義の流れ。グローバリズムの進行に対して、世界の各地で反攻の旋風が巻き起こっている。

 「グローバリズム」とは、「大資本の利益を極大化するために、国境を超えて、市場原理のみによって経済社会を動かすことを目指す運動」のことだ。

 同時に大資本は軍産複合体の利益を極大化するために、「戦争を創作」し続けている。その結果として、大量の難民が生み出され、その難民が欧州を中心に押し流されている。

 英国ではグローバリズムにNOの意思が明示され、米国でも、グローバリズムにNOの意思が表明された。
 しかし、フランスではグローバリズムにNOの意思を表示する勢力が勝利できない可能性が高まっている。
 他方、韓国では米国主導政治にNOの意思が示される可能性が高い。
 これらの投票結果の差をもたらしている最大の背景は、選挙の図式にある。

 反グローバリズムの主張は2つの系譜に分散される傾向を有する。
 第一は、政府の分配政策の見直し、生存権強化政策を求める主張。政府がすべての国民に保証するナショナルミニマムの引き上げ、所得再分配強化を軸とする社会民主主義政策を重視する主張である。
 第二は、排外主義的な主張。外国からの移民の激増によって、国家財政が悪化する、本来の国民の生活が圧迫されることを重視して、移民の流入を制限すべきとの主張である。

 英国の国民投票では、これらの両者が、ともにEUからの離脱という主張で合流できた。その結果として、EU離脱の判断が示された。

 米国の場合、民主党のサンダース氏が社会民主主義的な政策を提唱する一方、共和党のトランプ氏が排外主義的な傾向を有する主張を提示した。民主党の指名候補がクリントン氏になったため、サンダース支持者の多くが棄権もしくはトランプ氏支持に回った可能性がある。その結果として、トランプ氏が勝利した。クリントン氏は明らかにグローバリズム支持者であると見なされたのである。

 フランスの場合、反グローバリズムの支持者が3つに割れた。ルペン氏支持、メランション氏支持、アモン氏支持の3つだ。そして、決選投票には、この3名のうち、ルペン氏だけが勝ち残った。メランション氏の支持者の多くは棄権に回る可能性が高い。ルペン氏の排外主義が強すぎると考えているからだ。アモン氏の支持者はマクロン氏支持に回る。この結果として、中道でEU肯定派のマクロン氏が優勢となっている。

 韓国の大統領選では中盤まで支持を伸ばしていた安哲秀(アン・チョルス)氏が米国主導を基礎に置きながら、テレビ討論であいまいさを露呈したために支持を失った。明確な右派路線を提示した自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)氏に保守派の支持を奪い返されて、結果として米国主導路線に異を唱える文在寅氏のリードが生まれている安氏と洪氏が候補の一本化を実現させると、選挙結果は逆転する可能性もある。

 つまり、選挙・投票結果は、選挙・投票の図式に大きく左右される。「小異を残して大同につく」ことが選挙に勝利する最重要の事項なのである。日本でも、この点を的確に踏まえた戦術を採用すれば、いつでも政治刷新を実現できる。このことを忘れてはならない。

※続きは5月6日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1735号「『腐ったリンゴは隣のリンゴを腐らす』民進党」で。


▼関連リンク
・植草一秀の『知られざる真実』

 
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