2022年01月23日( 日 )
by データ・マックス

環境変化著しい金融業界、スピード感をもって変化していく(中)

(株)山口銀行 頭取 吉村 猛 氏

 ――金融機関に吹いている新しい風はマイナス金利だけではありません。

 吉村 規制緩和によって投資信託や保険、アセットマネジメントなど、私たちが手がけることができる業務の幅が広がりました。これも大きな変化です。業務範囲が広がったことで、それを組み入れた、うまく活用できる仕組みを考えていきたいと思います。

 ――山口FG傘下の北九州銀行についてうかがいます。北九州銀行は現在、北九州市を中心に支店を展開していらっしゃいますが、今後、九州全域にまで支店網を張りめぐらせるお考えはあるのでしょうか。

 吉村 北九州銀行を設立し、九州の銀行さまとは良い意味で切磋琢磨させていただいております。そのなかで、私たちはそれぞれの地域でお客さまのニーズに沿ってサービスを展開するために店舗をつくっております。

 現段階でも福岡県のほか、大分市、長崎市、熊本市に支店を運営しています。九州全体では、まだまだ新しい銀行ということもあるのか、サービスを磨く余地があるように感じています。お客さまからの認知が深まるよう、また、お客さまのニーズにお応えできるよう出店も考えますが、今のところは既存店を中心としたビジネスモデルの構築が最優先ですね。

フィンテックなど環境が激変

 ――ITやフィンテックといった、新たなサービスが生まれてきています。

 吉村 ITやフィンテックの進化については、進歩のスピードが非常に早く、私たち金融業界にどのくらいの影響を与えるかは、まだ明確になっているとは言い難い状態だと思います。しかし、まったく安心することはできません。できることは限られているかもしれませんが、やはり従来の業務をやっていればいい、という考え方では、現在の局面を生き抜くことは難しいだろうと考えています。フィンテックを逆に活用しながらビジネスモデルを昇華させていかないと、時代の風に打ち負けてしまうように感じています。

 ――AIやフィンテックなど、技術が進歩するスピード感は、すごいですからね。

 吉村 AIやフィンテックといった新しい技術や考え方、サービスは必ずしも銀行業の全部を覆いきれるものではないと考えています。ここの部分はAIが、ここの部分はITがカバーして、ここの部分は従来のように銀行員がといったように、AIやIT、フィンテックまで含めて、ビジネスモデルを組み上げたいと考えております。それは、従来の銀行業務のこの部分をAIにとられる、ITにとられるといったことではありません。最終的にそれらを含めて、山口FGの強みを生み出していきたいと考えています。諸先輩方が構築してくれた基盤のなかに少しずつ新しいものを導入して、時代に即した金融サービスを生み出すのが、私たちに与えられたミッションだと考えています。

変化に乗り遅れることが最大のリスクに

 ――新たなビジネスモデルを構築することが第一、ということですね。どれくらいの期間で、それを成し遂げる予定ですか。

 吉村 今年の4月から、1年かけてやり遂げようと考えています。

 ――それはすごいスピードですね。

 吉村 金融機関のような既存ビジネスは、変化に弱く対応が遅れがち、というイメージがあるかもしれませんが、それでは、今からの時代を生き抜くことが困難になってしまうと思います。私たちはまず今年度で考えられる変革をとにかく実行し、成功するものを次年度に残していくことで、ビジネスモデルを構築していこうと考えています。
 私たちにとって最大のリスクは何かというと、変化に乗り遅れることです。AI、IT、フィンテックといった分野は変化のスピードが非常に早いですが、このスピードに乗り遅れてしまうと置いていかれてしまいます。それらの変化の早い分野と同じか、それ以上のスピードでこちらも変革していかなくてはならないと考えています。そして、あくまでその変革は、お客さまのためになる銀行づくりという第一義を実現するためのものです。地域とともに歩んでいく、寄り添っていくことが、私たちの存在の意義だと考えています。

(つづく)
【文・構成:柳 茂嘉】

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<COMPANY INFORMATION>
代 表:吉村 猛
所在地:山口県下関市竹崎町4-2-36
設 立:1944年3月
資本金:100億円
経常収益:(17/3)791億6,400万円

 
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