2024年12月10日( 火 )

クラフトビールを知ろう!瑠璃色の伝説 田沢湖ビール(4)

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 長い停滞の時期、酒類全体の市場規模もまた年々縮小したが、消費者が成熟、嗜好が多様化するなかでもクラフトとビールは1つのジャンルとして受け入れられつつある。業歴20年以上のクラフトビールメーカーの醸造技術は地道に経験を蓄積し、昔とは比べられないほどの進歩を続けている。

 国内でも200社以上(規模が小さすぎるメーカーは省く)のクラフトビールメーカーが競い合うなか、固定のファンを獲得し、根強い人気を誇る田沢湖ビールが持つ魅力とは何なのだろうか?その前に簡単にビール醸造の流れを説明する。

 ビール醸造は、(1)麦芽を粉砕、(2)糖化、(3)煮沸・ワールプール、(4)発酵、(5)熟成、(6)瓶・樽詰め、といった流れが一般的だ。その工程のなかで、「麦芽や仕込み水、酵母やホップはどうするか」といった原料の選別や正しい製造手順や品質管理、そして試行錯誤のなかから生まれる職人の感覚とセンスが磨かれ、独自のこだわりが生まれる。職人たちの飽くなき向上心がさらなる至高のクラフトビールを作り出している。

 田沢湖ビールもそのなかの1つだ。同ビールのこだわりは、酵母をいっさいろ過せずに作った、酵母が生きた生Liveビールだという。仕込み水には日本一のブナの巨木が育った和賀山塊の清冽な伏流水、モルトはドイツ産の上質なモルトや自社製造の秋田県産モルトを使用。また、ビールの醸造に不可欠なホップは、世界最高品質の「ザーツザーツ」を使用することで、贅沢で個性的なビールを作り上げている。

 品質管理の面では当たり前のことだが、麦芽粉砕機から醸造所、発酵タンク、熟成タンク、樽洗浄機などをきれいに整備していることが工場内の様子からうかがえた。こうした地道な努力が田沢湖ビールのファン獲得につながっているのだろう。安定した品質とこだわり抜いた素材、個性的な味、ビール初心者から玄人まで納得させるラインナップが田沢湖ビールの大きな武器といえるだろう。

(了)
【藤谷 慎吾】

 
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