2024年05月15日( 水 )

失墜したマキャベリスト 小池百合子氏の今後は

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 希望の党結党直後のこと。テレビ番組に出演した小池百合子氏の姿が、今も記憶に残っている。
 キャスターから「安倍首相を、森友・加計学園問題で追及していくおつもりですか」と質問された小池氏はにっこりと微笑み、媚びすら感じさせる声音で「それは選挙ですからぁ~」と言ってのけたのだ。「『選挙ですから』そこまで問題視していなくても攻撃の材料にする」「『選挙ですから』弱味と見れば徹底的に突く」……小池代表がどのような趣旨でこの言葉を発したのかは明らかではないが(番組はその発言を最後にCMに入り、再開後は話題が変わっていた)、「選挙だから」という言葉で自らの言動を正当化する、政局第一主義の人物だという事実が垣間見えた。嫣然とした笑顔という衣の下には、マキャベリストの冷たい鎧が隠れていたのである。

 衆院選で想像を超える大敗北を喫して迎えた希望の党の両院議員懇談会では、小池代表の責任を問う声、さらには代表辞任を求める声が続出した。これに対し小池代表は「自分には党を立ち上げた責任もあるが、東京都知事だという事実もある」として、国政については国会議員が主に携わるべきだという姿勢を示した。衆院選への小池代表の立候補こそが最後の手段だ、という党内外の意見を柳に風と受け流し続けた小池氏。この逃げ道を確保しておくために、逆転を狙った自身の出馬というカードを切らなかったのではないか。

 仮に今後希望の党の代表や東京都知事の職を降りるときが来るとしても、小池氏は「最大の効果を生む」と自ら判断したときにしか動かないだろう。乗れる風には乗り、自分のために血を流した同志も必要とあれば切り捨てる。両院議員懇談会では民進党出身議員から「100人を超える仲間が討ち死にした」と責められたが、小池氏は何の痛痒も感じていなかったのではないか。

 小池氏のゴールが「日本初の女性首相」だとすれば、今現在そこに至る道は蜘蛛の糸よりも細い。小池氏が今後どのような判断を下し、希望の党という存在をどう扱っていくか、そして自らどう行動するかは誰にもわからないままだ。

【深水 央】

 

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