2022年05月25日( 水 )
by データ・マックス

アビスパ、穴は埋まった! 注目の新戦力躍動

 「移籍した選手の穴は埋まるか……」
 昨年J1昇格を逃したアビスパサポーターが、寄るとさわると話していたのがこのテーマである。アビスパは昨年のシーズン終了後、FWウェリントン(→ヴィッセル神戸・J1)、MF三門雄大(→大宮アルディージャ・J2)、DF亀川諒史(→柏レイソル・J1)らレギュラー選手が国内のほかのクラブに相次いで移籍。また、アビスパ生え抜きの期待の新星・DF冨安健洋はベルギーへと旅立った(→シント=トロイデンVV)。
 それぞれ、ウェリントンはチーム得点ランキングトップ。三門はゲームキャプテン。亀川は左ウイングバックの不動のレギュラー。冨安は19歳ながら守備の要に成長した。彼らの移籍はアビスパにとって非常に大きな影響を与えると見られていた。

 だが、25日の開幕戦を見れば、その心配は雲散霧消したのではないだろうか。それだけ、新加入選手たちが残したインパクトは大きかった。

 まずはFWドゥドゥ。昨シーズンはJ1甲府で29試合5得点の成績を残した。前線で鋭いダッシュを繰り返して相手の背後を狙い、ボールを持てば相手DFを2人背負いながらボールキープして中央にクロスを送る。FW石津大介の強烈なオーバーヘッドを呼び込んだヘディングでの落としを見てもわかるように、スピードとテクニックだけの選手ではない。初戦の対戦相手・FC岐阜の守備陣は完全にドゥドゥを持て余し、彼に注意が集まることで石津やFW松田力が中央でフリーになる場面がたびたびみられた。また、ドゥドゥを走らせてスペースに長いパスを出すという選択肢が生まれることで、相手DFを中央から剥がすことも期待できる。

力強い突破を見せるFWドゥドゥ

タンカで退場するMFユ・インス

 次にMFユ・インス。年代別の韓国代表に招集される実力者。昨年はFC東京U-23でJ3に参戦し、20試合8ゴールを挙げた。開幕戦では右サイドを突破するシーンが見られ、縦の位置関係になるDF駒野友一、ドゥドゥと激しく入れ替わりながらボールを受け、チャンスを作った。後半、岐阜DFのタックルを受けて負傷交替。そこまでのプレーがよかっただけに、負傷が重いものでないことを祈りたい。交替後は担架に乗ったままピッチを後にした。

 復帰組ではMF鈴木惇。昨季は同じJ2の大分トリニータに期限付きで移籍し、出場39試合で5得点を挙げた。開幕戦で目を引いたのはセットプレー。昨年は、ほとんどのセットプレーで駒野がキッカーを務めた。駒野のキック自体は精度も非常に高く、得点につながったケースも多かったが、やはりバリエーションに乏しいのは事実。そこで左足で正確なボールを供給できる鈴木の復帰は大きかったといえるだろう。また、中盤の底でボールをさばく役割も確実にはたし、DFウォン・ドゥジェとの守備的センターハーフコンビも文句なし。かつて弱点といわれた守備もそつなくこなした。

 亀川とポジション的にも入れ替わりとなったのがDF輪湖直樹。J1柏で3シーズン連続ほぼレギュラーとして活躍したサイドバックは、アビスパでのデビュー戦では全得点の起点になる働きを見せ、その実力を証明してみせた。今後は守備的タスクをどれだけこなせるかがポイントになるだろう。

期待のDF輪湖直樹

FW森本貴幸の豪快なゴール

 そしてやはり開幕戦のMVPはこの男、FW森本貴幸。Jリーグ最年少出場、最年少得点などさまざまな記録をもつレコードホルダーは、アビスパでも鮮烈なデビューゴールを見せてくれた。井原正巳監督は「モリは攻撃的なポジションならどこでもできる」と語ったが、ゴールへの嗅覚という森本最高の武器を考えると、やはりFWのポジションでプレーしてほしい。開幕戦のようにジョーカーとして途中出場するか、それとも先発でボールに触れる機会を増やすか。井原監督の采配に注目だ。

 開幕戦で出場機会を得られなかった新戦力にも、注目株は多い。まずは「ウェリントンの後釜」と誰もが感じた長身ブラジル人FW、トゥーリオ・デ・メロ。193cmの長身に注目が集まるが、足元のテクニックにもたしかなものがある。セットプレーのターゲット、前線のポスト役などウェリントンがはたした役割は十二分に果たせるだろう。今回ベンチ入りを見送られたMF枝村匠馬の柔らかいパスワークにも期待。中盤は鈴木、枝村、MF山瀬功治ら実績のある選手が争うホットスポットになりそうだ。

 まだ1試合が終わったばかりだが、ハッキリといおう。「抜けた選手の穴は埋まった!」。アビスパの今シーズンは、堂々と「優勝」を目指して戦うシーズンになる。それだけの戦力はそろっている。

【深水 央】

 

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